重力圏外のプロポーズ、軌道修正は不可能です~宇宙飛行士は恋に不器用~


 結月の熱が下がったのは、翌日の午後。

「……三十六度八分。平熱に戻りましたね」

 昊が体温計を確認しながら、静かに告げる。

「よかった……」

 結月は漸くまともに起き上がれるようになっていた。
 身体はまだ少し怠いけれど、昨日の視界の揺れ状態に比べれば、雲泥の差だ。

「ご迷惑をおかけしました……」
「いえ。想定の範囲内です」
「……それ、なんか申し訳なさが倍増する言い方ですね」
「そうですか?」

 真顔で聞き返されてしまった。

「もう……その返しも想定の範囲内ですっ」
「……」

 ふたりの間に、ふっと笑いが零れる。