「……ん? 昊さん? ……え、やだ、私……」
「大丈夫です。……他意はありません」
「……私も、ありません……」
眠りから覚醒したのか、結月の目が見開かれた。
二人の耳は、同じように赤く染まっている。
「……何で、いるんですか? 仕事……は?」
「休みました。君の容体が安定するまで、そばにいた方がいいと判断しました」
「……え、休んだんですか? 訓練があるんじゃ……」
「あります。が、優先順位を再設定しました。健康状態の悪化は、長期的に見て任務に支障をきたす可能性がある。よって、早期の回復を最優先事項と判断しました」
「……理論的ですね」
「当然です」
結月は、ふっと笑った。
喉が痛くて声にならなかったけれど、心が少しだけ軽くなった気がした。
ふと、ベッドの端に畳まれた部屋着が目に入る。
「……あっ、これ……」
「着替えさせました。汗を掻いていたので」
「えっ……」
「濡れたままだとますます悪化するので。他意はありません」
「……あ、はい。ありがとうございます……」
顔が熱いのは、熱のせいだけじゃない気がした。
「喉越しがいいものなら、食べられそうですか?」
「……はい、たぶん」
「では、準備してきます」
そう言って彼は部屋を後にした。
(『他意はない』って……。そりゃあ、体調不良でダウンしてる女性をどうにかしようだなんて思う人じゃないのは分かってるけど。……はぁ、下着姿を……見られたのかぁ)



