結月と母親が顔を見合わせ、苦笑する。
昊は、ソファに座った結月の隣に腰を下ろした。
「……君が、星野くんか」
「はい。星野昊と申します」
「……職業は、宇宙飛行士だそうだな」
「はい。JSEAに所属して八年目です。それ以前は航空自衛隊に所属して、戦闘機に乗っていました」
「戦闘機?」
「はい。戦闘機で成層圏を飛んだ時、地球の丸みが見えたんです。あの時、……もう少し上に行けたらと思いました。戦闘機では成層圏の中層辺りまでは飛行できますが、さすがに宇宙には行けません。なので、幼い頃からの夢だった宇宙に行くために退官し、JSEAの採用試験を受けました」
「……夢を追うのもいいが、娘をちゃんと養っていけるのかね?」
結月が「ちょっと、お父さん……」と小声で制止しようとするが、昊は真顔のまま答えた。
「はい。現在の年収はJSEAの規定により——」
「いや、そういうことじゃない」
父の声が、少しだけ低くなる。
「結月はな、君と同じように幼い頃からの夢を叶えようとしていたが、諦めてしまって……。最近漸くまた立ち上がったところだ。今度こそ、自分の足で歩こうとしている。……君は、その歩みを邪魔しないと、誓えるのか?」
昊は一瞬だけ黙り、そして静かに口を開いた。
「……はい。彼女の夢は、彼女のものです。僕は、それを妨げるつもりはありません。むしろ、支えたいと思っています。彼女が夢を追い続けられるように、僕にできることがあるなら、全力でやります」



