重力圏外のプロポーズ、軌道修正は不可能です~宇宙飛行士は恋に不器用~


 週末の午後、結月の実家を訪れた二人。
 玄関先で出迎えたのは、エプロン姿の母・佳乃だった。

「いらっしゃい。昊さん、初めまして。結月がいつもお世話になってます」
「初めまして、星野昊と申します。JSEAに勤続八年目、それ以前は航空自衛隊で戦闘機に乗っていました」
「……フフッ、ここで話すのもなんですから、上がって下さい」

 昊の返答に、母がくすっと笑う。
 事前に結月からそれとなく昊の性格を聞いていた母は、なるほど~と納得した。


「……はい、お邪魔致します。あっ、そうでした! お口に合うか分かりませんが……」

 昊が手土産の菓子折りを結月の母親に手渡す。

「あら、お気遣いありがとうございます。後でゆっくりいただきますね」
 
 リビングに通されると、そこには新聞を広げたままの父・(ゆたか)がいた。
 無言で新聞を畳み、昊をじっと見つめる。

「初めまして、お義父さん。星野昊と申します」
「っ……、お義父さんと呼ぶのはまだ早い」
「では、何とお呼びすれば……?」

 じっと無言で見据える結月の父に、さすがの昊も一瞬たじろぐ。

「まぁまぁ、呼び方なんて、何でもいいじゃありませんか。昊さん、どうぞ座って下さい」
「……失礼致します」