ここで私は、明日の私を待つ

私が教室に着いた頃には、朝のホームルームが始まっていた。


私は静かに後ろのドアを開けた。


だが、ゆっくり開けてもドアは大きな音を立てる。


その音で、みんなの視線が一気に私に集中する。


「橋本、遅刻じゃないか。それにどうした?その汚い服は」


その言葉を聞いて、みんなが笑い出す。


制服についた泥はやっぱり落ちなかった。


「きったねぇ」


「こっち見んなブス」


そんな声が飛び交う教室。


佳子と杏奈も、私を見ながらコソコソ話して笑っている。


川崎と咲希なんて、笑いすぎて泣いているくらいだ。


私は泣きそうになるのを堪えて、叫んだ。


「みんなどうしちゃったの?昨日まで川崎がターゲットだったのに今日は私?一体何があったのよ!」


さっきまで騒がしかったのが嘘のように、教室が静まり返る。


そんな中、口を開いたのは川崎だった。


「は?何言ってるの?昨日まで私がいじめのターゲットだったって?自分がいじめられ過ぎて頭おかしくなっちゃった?」


そして再び笑いが起こる。


川崎こそ何を言ってるのだろうか。


昨日まで確かに私たちがいじめていたのに。


見兼ねた先生は、ホームルームを切り上げて出て行った。


「あんた汚いよ?その服どうにかしな」


先生が出てってすぐ、佳子が言った。


「ほら、床に泥落ちてるし」


しっかり払いきれなくて、いつの間にか泥が落ちていた。


私は急いで着替えようと、保健室へ駆け出して行った。


「おい!片付けろよ!」


そんな咲希の声も無視して走った。


「失礼します」


保健室のドアを開け、中に入った。


保健室の先生は、私を見るなり鼻で笑った。


「何よ、その汚い格好は。さっさと着替えて出て行きな」


「えっ?」


すごく驚いた。


先生はこんなこと言う人ではなかったし、一人一人に優しく丁寧に対応してくれる人だった。


ぼーっと立ち尽くす私に、先生は貸出用の制服を投げつけた。


「これ着てさっさと出て行って」


私は頭の中が真っ白になりながら着替えて、お礼も言わずに出て行った。