あの人に会いにいく。

 嫌な話題に切り替わり、思わずぶんぶん頭を振る。


 たとえば街中をブラブラ歩くか、両親に電話するかだったら私は絶対に街中を歩くことを選ぶだろう。
 それぐらい、父と母に電話する勇気も度胸もないのだ。


 すると紗倉は穏やかな笑みを一瞬だけ浮かべて、『行っておいでよ』それだけを告げた。



 あの後、紗倉は一方的にビデオ通話を切り、残されたメッセージは【誕生日おめでとう。素敵な夜を】ただそれだけだった。


 流石に友達としてどうなのって思ったけども……仕方なく、買い物ついでに都内を散歩してみることにした。


 右手に大きなビニール袋を持ち、スーパーから出れば人が止むことなく続く道を歩く。