「まさか清浄処理部隊が大学病院の隣で銭湯も運営しているだなんて、デブリスもビックリよね~。」
こんなボヤキが止まらないのは、まだ眠気が醒めない早朝だから。
私はよく声の響く大浴場のタイル床を、大きなデッキブラシで力強く擦り続けている。
異世界転移でこのウロングアースに来て清浄処理部隊に入隊してからというもの、私の仕事は主に大学病院の滅菌消毒室の助手及び寮のハウスキーパーをするという内容だ。
けど、第二週の土曜日だけは、清浄部隊が運営する銭湯の定期清掃が業務に追加されている。
この銭湯は主に清浄処理部隊が使う福利厚生の施設だけど、除菌や消毒効果もある特殊な温泉らしい。
土・日は一般にも広く開放していて、週末になると早朝から長い行列ができるほど人気だ。
公衆衛生の向上も私たちの任務のひとつだから、ここに需要があるのはとても素晴らしいことだと思う。
ただこの施設は…ただの平凡な中学生の私には、一人で掃除をするには困るくらいに広すぎるのよ!
ただでさえ大浴場の中は湿度が高くて暑いのに、時間に追われて動いているから汗が玉のように噴き出してくる。
私が就業する前は、誰がどうやって掃除をしていたんだろう?
ふと、大きなガラス窓の上部に設置されている時計を見上げた私はギョッとした。
(もうこんな時間⁉
あと一時間で鏡の水垢とカビを除去して、お湯の水質チェックもして…わーん、もう一つ体が欲しい!)
「おはよ。」
(ん?)
一心不乱にスポンジで鏡をこすっていると、不意に誰かの声がした気がして手を止めた。
もう一度鏡に向き直ると、なんと鏡には私以外の人間が映っていたのよ!
「ギャー!」
「ワァーッ!」
全身に鳥肌が立つくらい驚いて叫んだ私は、私と同じくらい驚いている小柄な男性を見て、すぐに状況を理解した。
「ウルさん? ごめんなさい、そこに居るとは思わなくて。」
潤んだ目が隠れるほど前髪が長いマッシュルームカットのウルさんは、すごく居心地が悪そうに身体を縮こまらせた。
「急に話しかけた僕が悪い。
ビックリさせちゃってゴメンね。」
個性が強い消毒班の中で、唯一の癒やしといえるのがウルさんなの。
いつも声を張らないでゆっくりと喋るので、よくも悪くもマイペース。
私は、壁時計を二度見してからウルさんに尋ねた。
「どうしたんですか? 営業開始時間には、まだ早いですけど。」
「ここは広いからさ、二人で掃除したほうが早いと思って来たんだ。
イーオが来る前は僕が掃除の担当だったから、早く終わらせるコツも教えてあげるね。」
神降臨! 優しいは正義!
「助かります! とくに鏡って拭きムラが出来やすいから、時間がかかるんですよね。」
「拭きムラ? それなら、イーオの能力があれば問題ないんじゃないかな。
確か消毒エタノールの噴射でしょ?」
「え、鏡にエタノールですか?」
「ダスターに適度な量のエタノールを吹きつけてから鏡を拭けば、水拭きと乾拭きする必要もないし、皮脂汚れなんかの酸性の汚れにも効果的だよ。」
やってみよ!
私はウエストバックから消毒スプレーを出して、教えられたとおりに鏡を一枚一枚拭いてみた。
「おおっ、ピカピカです!」
スッキリと艶光りする鏡は、見ていてスゴク気持ちがいい。
「教えてくれてありがとうございます!
良かったらエタノールを染み込ませたこのダスター、ウルさんも使ってください♪」
「ううん。僕はこれで大丈夫。」
袖を肘までまくり上げたウルさんは、素手で鏡をひと撫でした。
すると、手のひらから出た七色の気泡がパチンと弾けて鏡に当たり、表面が一皮むけたように光沢が出たの。
「わあ、虹みたい!
このシャボン玉が、ウルさんの能力なんですね。」
「そうだよ。僕の能力は超音波なんだ。」
私は驚いてウルさんの手を凝視した。
「超音波…イルカが出すというアレですか?
ウルさんってイルカと友だちなんですか⁉」
「面白いね、イーオって。
確かにそれと似たものだけど、僕の異能は医療に特化しているからイルカとはお話できないかも。」
クスクスとウルさんが静かに笑ってくれて、私は赤面した。
もしもこれがポピさんやジアさんなら、大笑いされた上に一生バカにされただろう。
「あれ、でも…。」
私は違和感を覚えて首をひねった。
「超音波洗浄の異能って【洗浄班】の仕事だと思っていました。」
前にエチルさんには、そう教わったのよね。
ウルさんは少し困った顔をした。
「ん…もともとは洗浄班にいたんだけど、ちょっと昔いろいろあって消毒班に出向中なんだ。」
「へえ。清浄部隊にも出向なんてあるんですね。」
すると、ウルさんは大きなため息を吐いて憂鬱な顔をした。
「僕は、ダメなヤツなんだ。」
「ダメなんて、そんな…。」
昔、洗浄班で何があったんだろう。
ウルさんの顔をのぞきこもうと近づいた私は、床の拭きあげていないぬめりに足を取られて転倒した。
「キャア!」
デッキブラシが床に叩きつけられるけたたましい音とともに、私は倒れたウルさんの身体の上に覆いかぶさっていたの。
しかも都合よく転んだ拍子に雑役ロープが絡まって、私とウルさんの足を繋いでいる。
マンガか! こんなことってある⁉
「ご、ごめんなさい! 今すぐに解きまましたすから!!」
焦って手に取ったロープを外そうとすればするほど、余計に結び目が増えてくる。
「イーオ、大丈夫?」
「ハイ!」
実は細かい作業は苦手なのよね。
裁縫とか知恵の輪とか‼
でも、こんなこともできないようじゃ『足手まといな新人』のレッテルはいつまで経っても剥がせない!
「いや、そこ引っ張ったら余計に絡まるんじゃ…。」
「あれ? あれ⁉」
ロープはいよいよ固くこんがらがってしまい、私がプチパニックを起こしていると、大浴場の入り口から男性二人の話し声が聞こえてきた。
「まあ、そうでヤンスね。」
あのヤンス口調は…まさかエチルさんがココに?
私は一気に全身の血の気が引いた気がした。
(オーマイガッ!
大好きなエチルさんにだけは誤解されたくない!!)
「ウルさん、緊急事態です!」
「緊急事態?」
完全に二人三脚状態になっているウルさんは私の焦りを知る由もない。
「このまま一緒に逃げましょう!」
「え? 逃げるって、どこに⁉」
「あそこしかありません‼」
私は戸惑うウルさんを雰囲気だけで押し切って先導すると、ウルさんと二人三脚の要領でサウナ室の横の用具箱に飛びこんだ。
♢
「イーオは面白い能力を持っているんだ。とても興味をそそられる。
きっと、クレーブも気に入ると思うでヤンスよ。」
狭い用具箱の中でウルさんと息をひそめていると、エチルさんの声の後にクレーブと呼ばれた男性の声が聞こえてきた。
「あれ? 居ないな。
もう寮に帰ったのかな。」
「なんだ。
せっかくエチルが期待の新人を紹介するというから来たのに。」
「残念。また今度でヤンスね。」
踵を返して立ち去ろうとしたエチルさんに、クレーブが声のトーンを落として切り出した。
「今日呼び出したのは、その新人のことだけじゃないだろう?
本題は何だ?」
「ああ。例の調査の件の進捗報告がしたくてね。」
(しんちょくほうこくって何のことだろう。
それにしても…これって立派な盗聴よね?)
罪悪感を感じながら、私は声をひそめてウルさんに質問した。
「エチルさんと一緒にいる人は誰ですか?」
『第参部隊【滅菌班】隊長・クレーブですよ。』
思わず見上げるとウルさんの吐息が私の頬に当たる。
(わーん、ウルさんが近い!)
これでも私は、思春期真っ只中の中学生。
推しじゃなくても、異性への恥じらいは少なからずある。
(私の勝手な判断に巻き込まれているウルさんには申し訳ないけどね!)
ひとりで妄想を拗らせていると、クレーブはわざとらしく咳払いをして耳を疑うような話を始めたの。
「例の件か。
君の説によると『未知のウイルスは異世界からやってきた人類が広めたもの』だったよね。」
♢
(エエッ⁉)
『未知のウイルスは異世界からやってきた人類が広めたもの』
狭い用具箱の中でこの言葉を聞いた私は、ショックのあまり吐きそうになった。
(エチルさんが異世界人を認知していて、その調査をしているってこと?
しかも異世界人が未知のウイルスを広めた?
私、そんなの知らないよ‼)
「イーオ、具合が悪いの?」
ウルさんの声が遠くに聞こえるほど、自分の胸の鼓動が大きすぎて苦しかった。
(どうしよう。もし私が異世界人だということがエチルさんにバレたら、ここには居られない!)
私の絶望をよそに、エチルさんは淡々と説明を続けた。
「未知のウイルスに罹患した患者の中に、不思議な言動を繰り返す患者が一定数いる。そして、その一定数の人間が老若男女問わず口にするキーワードが『異世界』なんだ。
『未知のウイルスによる脳細胞への損傷が妄言を引き起こす』というのがウチの大学の研究チームが発表している定説だが、私は実際に同じ時間軸に異世界はあると思っている。
我々が住むこの【ウロングサイド・アース】と異世界が何かのきっかけでつながると、こちらに適合した異世界人が現れるでヤンス。」
「それで、定説を覆す世紀の大発見は見つかったのかな?」
「それが…。」
スチールの薄い扉に耳を押しつけてエチルさんの話を聞き入っていると、ズキズキと頭が痛くなってきた。
確かに異世界人の話はショックだったけど、この具合の悪さはさすがにおかしい。
私が顏をしかめてウルさんを見ると、暗くても分かるくらい顏が白い。
「ハァハァ…。」
自分が頭が痛いことは忘れて、私はウルさんの体調が心配になった。
「具合、大丈夫ですか⁇」
その時不意に、私たちの足もとにあった発砲スチロールの容器がミシミシと縮んでいくのを見て、私は驚いた。
「ヤダ、何コレ!」
「ごめん。
なんか僕、ドキドキしちゃってうまく息が吸えないんだ。」
もしかして、これもウルさんの異能の一種なのかしら?
ウルさんがドキドキすると、空気が少なくなるの⁇
私にもたれかかったウルさんが、切なげに眉根を寄せた。
「もう、出てもいい?」
(いちばん良くないタイミング!
わーん、どうしよう!)
エチルさんの声が急に途切れたのと、クレーブさんが「シィー。」と言葉を遮るように発したのは同時だった。
「おい、エチル。
この大浴場はちゃんと清掃をしているのか?
どうやら大きいネズミが入り込んだようだ。」
からかうようなクレーブさんの声に、私の心臓は跳ね上がった。
どど、どうしよう。
絶対絶命⁉
そしてエチルさんが低い声でこう言ったの。
「そこに隠れていることは分かっている。三秒以内に出てくるでヤンス。
3・2・1、ゼロ!」
(もう、限界!)
顔を見合わせた私たちは用具箱のドアに体当たりした。
「隠れてごめんなさい! 悪気はなかったんですーーー‼」
叫びながら飛び出した瞬間、私はエチルさんとクレーブさんと思われるドラゴンの角の生えた体格のいい男性が嫌がる男性を組み敷いている場面に出くわしたの。
ポカーン。
(え、何? どういう状況なの?)
「たまにいるんだよ。一般開放の日を狙って清浄部隊の拠点に入り込もうとするネズミがなぁ!」
嫌がる男は筋肉隆々のクレーブさんに腕を逆手に絡めとられ、タイルの床に頬を押し付けられて苦鳴をあげている。
「普通の人間のようだけど、ウイルスに感染して操られているのかもしれない。検査キットで調べてみよう。」
暴れる男の胴体を押さえつけていたエチルさんが、私とウルさんに気がついて顔をあげた。
「あれ、イーオ?
ウルまでどうして用具箱から…。」
(なんだ。
ネズミって私たちのことじゃなかったんだ!)
酸欠で紫色の唇になりながら、私とウルさんはタイルの床に崩れ落ちた。
♢
「コイツ、こんなのを隠し持っていたぞ!」
クレーブさんが押さえつけていた男の腹から、細長いビニール袋で覆われた複数の医療器具を浴場の床にバラ撒いた。
「この穴の中身は全て、血液で汚染されている上にバイオフィルムでガチガチでヤンス。」
LED照明で管の医療器具の中を照らしたエチルさんが、拡大ルーペを頭から外した。
「これは…洗浄用のブラシも入らないし通常の消毒や滅菌処理では汚れが残るな。
しかも早く処理しなければ手に負えない時限爆弾のようなものだぞ!
エチル、お前ならどう処理する?」
「通常の固着したデブリス汚れなら、超音波のアタックで破壊できるでヤンス。」
(超音波?
なら良かった! ウルさんがいるじゃない‼)
エチルさんはすぐにウルさんを振り返った。
「ウル、君の超音波で潜んだデブリスを破壊してくれないか?」
「僕…自信がありません。」
その場の全員が愕然として、白い顔のウルさんを見つめた。
「なんだと?」
みんなの気持ちを代弁するかのように、クレーブさんが怒りを露わにした。
「おまえは異能を持つ清浄部隊の隊員だろう! なぜ全力を尽くさない⁉」
「ご、ごめんなさい!」
「どうしてですか? さっきは超音波で鏡をピカピカにしたじゃないですか。」
「僕の能力は物体の表面の洗浄はできるけど、筒状の物の内部までは効かないことがあるんです。
僕は怖いんです。もしできなかったら取り返しのつかない事故に…。」
そういうと、ウルさんは泣きだしてしまった。
もしかしたら、過去にそういう事例を引き起こしたことがあるのかもしれない。
私も決して強い人間じゃない。
ウルさんの気持ちが痛いほど伝わってきて、いたたまれない気持ちになる。
「エチル! お前は【消毒班】隊長だろう、何とかしろ‼」
もう! エチルさんを責めないでほしいッ!!
かといって、私にできることといったらエタノール噴射のみ。
管の中の標的にも届くはずだけど、張りついたデブリスを完全に壊したり追い出すことはできないわ。
「もうすぐ一般の人間が入ってくる時間だ。ここで一次処理をしてしまわなければ!」
たたみかけるようなクレーブさんの声に気がはやる。
(なにか、何か方法はないの⁉)
待てよ。
頭を上下に振って憤るクレーブさんを見て、私はふと昔のことを思い出した。
細い口のペットボトルを洗うときは、洗剤水を少し入れて上下に激しく振ると中身がキレイになる。
それみたいに、この管の医療器具も洗浄できないのかな。
そうだ!
「ウルさん、もう一度だけこの医療器具と一緒に用具箱に入ってください!
そしてドキドキしながら超音波洗浄をしてみてもらえませんか?」
「ええ? ドキドキしながら? そんなことしてもムダじゃないかな。」
「ウルさんは、本当にスゴイ人です。自分を信じてください。」
「そこまでイーオが言ってくれるなら…やってみるよ。」
ウルさんは鼻息を荒くして用具箱に入って行った。
(頑張って!)
シーン。
しばらくして、用具箱の扉を細く開けて、隙間からウルさんが情けない声で私を呼んだ。
「やっぱり、あまりドキドキしない。」
「おかしいですね。さっきはあんなに苦しそうだったのに。」
ウルさんは、消え入りそうな声で下を向いて喋った。
「もしかしてイーオと一緒に狭いところに居たからドキドキが増したのかも…。」
「イィッ? 」
確かに私もドキドキしたけど、そういうこと⁉
「イーオ、頼むでヤンス。」
私はエチルさんとクレーブさんに見守られながら、再びウルさんと用具箱に入ったの。
(ウウッ、きまずッ!)
そして外から扉を閉められた途端、またあの頭痛が襲って来た。
もしかして、もう減圧が始まっている?
私は発砲スチロールの容器とウルさんが手にしている医療器具をかわるがわる見比べた。
このまま減圧と加圧を繰り返せば、管の中に洗浄液が出入りして超音波の効果を増す。
「ハァハァ。」
ウルさんの手の上の医療器具は少しずつ気泡を出して震え始めた。
「キテます。熱を加えていないのに沸騰しています! 減圧できています!」
「超音波40kHzで15分間振とう!」
ウルさんの手から特大の虹色のシャボン玉が出て、医療器具にぶつかるとパンと弾けた。
その瞬間、筒状の器具の入り口から小さな石にヒビが入った姿のデブリスが、焦った顔で飛び出してきたのよ!
「デブリス!」
私はすかさず持っていた消毒スプレーをデブリスに向かって噴射した。
『ギャーーーッ‼』
スプレーの直撃を浴びたデブリスは落下して苦し気に用具箱の狭い床を這いまわった。
思わず私がサンダルで踏みつけると、ウルさんが両手で目を覆った。
『オノレ…清浄部隊メ…。』
私は足の下で種になったデブリスを回収した。
「やりましたね、ウルさん!」
「僕の力が命の役に立つ日がくるなんて。
ありがとう、イーオ。君が背中を押してくれたおかげだ。」
良かったね、ウルさん。
悲しい過去があっても、乗り越える勇気さえあれば未来は変えることができるはず。
「消毒完了!」
私とウルさんは声を揃えて宣言した。
私も、もう少しだけ頑張ろう。
この消毒スプレーの液が最後の一滴になるまでは。
♢
(やれやれ。一件落着ね。)
と思いながら用具箱から出る前に、急にウルさんに手首をつかまれた。
「どうしたんですか?」
「待ってくれ。
デブリスを退治できたのは、全て君のおかげだ。君は僕の太陽だ!」
ウルさんの口調が、いつもより早口で怖い。
しかも、こんな歯が浮くセリフを言う性格ヒトじゃないのに!
「イーオ、僕と結婚してください!」
ハアッ?
「ウル、しっかりするでヤンス。」
エチルさんが興奮するウルさんの髪を一本引き抜いた途端、髪の毛穴から水蒸気が噴き出して、シュルシュルと身体がしぼんでいった。しばらくすると、ウルさんが眠そうな顔であくびをしたの。
「あれ、デブリスは?」
私は狐につままれたようにポカンとした。
「エチルさん、今、ウルさんに何が起こったんですか?」
「初めての減圧に慣れなくて、ウルの中の圧力が抜けきらなかったみたいだから、手を貸したでヤンス。」
「圧力が下がったから、元のウルさんに戻ったんですか?」
「おそらくね。」
それって圧力鍋と同じ?
圧力が抜けたウルさんはいつものゆるいテンションだった。
私にプロポーズしたことは、見事に記憶から飛んでいたの。
あーあ。
人生初のモテ期・即終了。
私はホッとした半面、少し残念な気持ちも抱えつつ銭湯の入り口にのれんをかけた。
こんなボヤキが止まらないのは、まだ眠気が醒めない早朝だから。
私はよく声の響く大浴場のタイル床を、大きなデッキブラシで力強く擦り続けている。
異世界転移でこのウロングアースに来て清浄処理部隊に入隊してからというもの、私の仕事は主に大学病院の滅菌消毒室の助手及び寮のハウスキーパーをするという内容だ。
けど、第二週の土曜日だけは、清浄部隊が運営する銭湯の定期清掃が業務に追加されている。
この銭湯は主に清浄処理部隊が使う福利厚生の施設だけど、除菌や消毒効果もある特殊な温泉らしい。
土・日は一般にも広く開放していて、週末になると早朝から長い行列ができるほど人気だ。
公衆衛生の向上も私たちの任務のひとつだから、ここに需要があるのはとても素晴らしいことだと思う。
ただこの施設は…ただの平凡な中学生の私には、一人で掃除をするには困るくらいに広すぎるのよ!
ただでさえ大浴場の中は湿度が高くて暑いのに、時間に追われて動いているから汗が玉のように噴き出してくる。
私が就業する前は、誰がどうやって掃除をしていたんだろう?
ふと、大きなガラス窓の上部に設置されている時計を見上げた私はギョッとした。
(もうこんな時間⁉
あと一時間で鏡の水垢とカビを除去して、お湯の水質チェックもして…わーん、もう一つ体が欲しい!)
「おはよ。」
(ん?)
一心不乱にスポンジで鏡をこすっていると、不意に誰かの声がした気がして手を止めた。
もう一度鏡に向き直ると、なんと鏡には私以外の人間が映っていたのよ!
「ギャー!」
「ワァーッ!」
全身に鳥肌が立つくらい驚いて叫んだ私は、私と同じくらい驚いている小柄な男性を見て、すぐに状況を理解した。
「ウルさん? ごめんなさい、そこに居るとは思わなくて。」
潤んだ目が隠れるほど前髪が長いマッシュルームカットのウルさんは、すごく居心地が悪そうに身体を縮こまらせた。
「急に話しかけた僕が悪い。
ビックリさせちゃってゴメンね。」
個性が強い消毒班の中で、唯一の癒やしといえるのがウルさんなの。
いつも声を張らないでゆっくりと喋るので、よくも悪くもマイペース。
私は、壁時計を二度見してからウルさんに尋ねた。
「どうしたんですか? 営業開始時間には、まだ早いですけど。」
「ここは広いからさ、二人で掃除したほうが早いと思って来たんだ。
イーオが来る前は僕が掃除の担当だったから、早く終わらせるコツも教えてあげるね。」
神降臨! 優しいは正義!
「助かります! とくに鏡って拭きムラが出来やすいから、時間がかかるんですよね。」
「拭きムラ? それなら、イーオの能力があれば問題ないんじゃないかな。
確か消毒エタノールの噴射でしょ?」
「え、鏡にエタノールですか?」
「ダスターに適度な量のエタノールを吹きつけてから鏡を拭けば、水拭きと乾拭きする必要もないし、皮脂汚れなんかの酸性の汚れにも効果的だよ。」
やってみよ!
私はウエストバックから消毒スプレーを出して、教えられたとおりに鏡を一枚一枚拭いてみた。
「おおっ、ピカピカです!」
スッキリと艶光りする鏡は、見ていてスゴク気持ちがいい。
「教えてくれてありがとうございます!
良かったらエタノールを染み込ませたこのダスター、ウルさんも使ってください♪」
「ううん。僕はこれで大丈夫。」
袖を肘までまくり上げたウルさんは、素手で鏡をひと撫でした。
すると、手のひらから出た七色の気泡がパチンと弾けて鏡に当たり、表面が一皮むけたように光沢が出たの。
「わあ、虹みたい!
このシャボン玉が、ウルさんの能力なんですね。」
「そうだよ。僕の能力は超音波なんだ。」
私は驚いてウルさんの手を凝視した。
「超音波…イルカが出すというアレですか?
ウルさんってイルカと友だちなんですか⁉」
「面白いね、イーオって。
確かにそれと似たものだけど、僕の異能は医療に特化しているからイルカとはお話できないかも。」
クスクスとウルさんが静かに笑ってくれて、私は赤面した。
もしもこれがポピさんやジアさんなら、大笑いされた上に一生バカにされただろう。
「あれ、でも…。」
私は違和感を覚えて首をひねった。
「超音波洗浄の異能って【洗浄班】の仕事だと思っていました。」
前にエチルさんには、そう教わったのよね。
ウルさんは少し困った顔をした。
「ん…もともとは洗浄班にいたんだけど、ちょっと昔いろいろあって消毒班に出向中なんだ。」
「へえ。清浄部隊にも出向なんてあるんですね。」
すると、ウルさんは大きなため息を吐いて憂鬱な顔をした。
「僕は、ダメなヤツなんだ。」
「ダメなんて、そんな…。」
昔、洗浄班で何があったんだろう。
ウルさんの顔をのぞきこもうと近づいた私は、床の拭きあげていないぬめりに足を取られて転倒した。
「キャア!」
デッキブラシが床に叩きつけられるけたたましい音とともに、私は倒れたウルさんの身体の上に覆いかぶさっていたの。
しかも都合よく転んだ拍子に雑役ロープが絡まって、私とウルさんの足を繋いでいる。
マンガか! こんなことってある⁉
「ご、ごめんなさい! 今すぐに解きまましたすから!!」
焦って手に取ったロープを外そうとすればするほど、余計に結び目が増えてくる。
「イーオ、大丈夫?」
「ハイ!」
実は細かい作業は苦手なのよね。
裁縫とか知恵の輪とか‼
でも、こんなこともできないようじゃ『足手まといな新人』のレッテルはいつまで経っても剥がせない!
「いや、そこ引っ張ったら余計に絡まるんじゃ…。」
「あれ? あれ⁉」
ロープはいよいよ固くこんがらがってしまい、私がプチパニックを起こしていると、大浴場の入り口から男性二人の話し声が聞こえてきた。
「まあ、そうでヤンスね。」
あのヤンス口調は…まさかエチルさんがココに?
私は一気に全身の血の気が引いた気がした。
(オーマイガッ!
大好きなエチルさんにだけは誤解されたくない!!)
「ウルさん、緊急事態です!」
「緊急事態?」
完全に二人三脚状態になっているウルさんは私の焦りを知る由もない。
「このまま一緒に逃げましょう!」
「え? 逃げるって、どこに⁉」
「あそこしかありません‼」
私は戸惑うウルさんを雰囲気だけで押し切って先導すると、ウルさんと二人三脚の要領でサウナ室の横の用具箱に飛びこんだ。
♢
「イーオは面白い能力を持っているんだ。とても興味をそそられる。
きっと、クレーブも気に入ると思うでヤンスよ。」
狭い用具箱の中でウルさんと息をひそめていると、エチルさんの声の後にクレーブと呼ばれた男性の声が聞こえてきた。
「あれ? 居ないな。
もう寮に帰ったのかな。」
「なんだ。
せっかくエチルが期待の新人を紹介するというから来たのに。」
「残念。また今度でヤンスね。」
踵を返して立ち去ろうとしたエチルさんに、クレーブが声のトーンを落として切り出した。
「今日呼び出したのは、その新人のことだけじゃないだろう?
本題は何だ?」
「ああ。例の調査の件の進捗報告がしたくてね。」
(しんちょくほうこくって何のことだろう。
それにしても…これって立派な盗聴よね?)
罪悪感を感じながら、私は声をひそめてウルさんに質問した。
「エチルさんと一緒にいる人は誰ですか?」
『第参部隊【滅菌班】隊長・クレーブですよ。』
思わず見上げるとウルさんの吐息が私の頬に当たる。
(わーん、ウルさんが近い!)
これでも私は、思春期真っ只中の中学生。
推しじゃなくても、異性への恥じらいは少なからずある。
(私の勝手な判断に巻き込まれているウルさんには申し訳ないけどね!)
ひとりで妄想を拗らせていると、クレーブはわざとらしく咳払いをして耳を疑うような話を始めたの。
「例の件か。
君の説によると『未知のウイルスは異世界からやってきた人類が広めたもの』だったよね。」
♢
(エエッ⁉)
『未知のウイルスは異世界からやってきた人類が広めたもの』
狭い用具箱の中でこの言葉を聞いた私は、ショックのあまり吐きそうになった。
(エチルさんが異世界人を認知していて、その調査をしているってこと?
しかも異世界人が未知のウイルスを広めた?
私、そんなの知らないよ‼)
「イーオ、具合が悪いの?」
ウルさんの声が遠くに聞こえるほど、自分の胸の鼓動が大きすぎて苦しかった。
(どうしよう。もし私が異世界人だということがエチルさんにバレたら、ここには居られない!)
私の絶望をよそに、エチルさんは淡々と説明を続けた。
「未知のウイルスに罹患した患者の中に、不思議な言動を繰り返す患者が一定数いる。そして、その一定数の人間が老若男女問わず口にするキーワードが『異世界』なんだ。
『未知のウイルスによる脳細胞への損傷が妄言を引き起こす』というのがウチの大学の研究チームが発表している定説だが、私は実際に同じ時間軸に異世界はあると思っている。
我々が住むこの【ウロングサイド・アース】と異世界が何かのきっかけでつながると、こちらに適合した異世界人が現れるでヤンス。」
「それで、定説を覆す世紀の大発見は見つかったのかな?」
「それが…。」
スチールの薄い扉に耳を押しつけてエチルさんの話を聞き入っていると、ズキズキと頭が痛くなってきた。
確かに異世界人の話はショックだったけど、この具合の悪さはさすがにおかしい。
私が顏をしかめてウルさんを見ると、暗くても分かるくらい顏が白い。
「ハァハァ…。」
自分が頭が痛いことは忘れて、私はウルさんの体調が心配になった。
「具合、大丈夫ですか⁇」
その時不意に、私たちの足もとにあった発砲スチロールの容器がミシミシと縮んでいくのを見て、私は驚いた。
「ヤダ、何コレ!」
「ごめん。
なんか僕、ドキドキしちゃってうまく息が吸えないんだ。」
もしかして、これもウルさんの異能の一種なのかしら?
ウルさんがドキドキすると、空気が少なくなるの⁇
私にもたれかかったウルさんが、切なげに眉根を寄せた。
「もう、出てもいい?」
(いちばん良くないタイミング!
わーん、どうしよう!)
エチルさんの声が急に途切れたのと、クレーブさんが「シィー。」と言葉を遮るように発したのは同時だった。
「おい、エチル。
この大浴場はちゃんと清掃をしているのか?
どうやら大きいネズミが入り込んだようだ。」
からかうようなクレーブさんの声に、私の心臓は跳ね上がった。
どど、どうしよう。
絶対絶命⁉
そしてエチルさんが低い声でこう言ったの。
「そこに隠れていることは分かっている。三秒以内に出てくるでヤンス。
3・2・1、ゼロ!」
(もう、限界!)
顔を見合わせた私たちは用具箱のドアに体当たりした。
「隠れてごめんなさい! 悪気はなかったんですーーー‼」
叫びながら飛び出した瞬間、私はエチルさんとクレーブさんと思われるドラゴンの角の生えた体格のいい男性が嫌がる男性を組み敷いている場面に出くわしたの。
ポカーン。
(え、何? どういう状況なの?)
「たまにいるんだよ。一般開放の日を狙って清浄部隊の拠点に入り込もうとするネズミがなぁ!」
嫌がる男は筋肉隆々のクレーブさんに腕を逆手に絡めとられ、タイルの床に頬を押し付けられて苦鳴をあげている。
「普通の人間のようだけど、ウイルスに感染して操られているのかもしれない。検査キットで調べてみよう。」
暴れる男の胴体を押さえつけていたエチルさんが、私とウルさんに気がついて顔をあげた。
「あれ、イーオ?
ウルまでどうして用具箱から…。」
(なんだ。
ネズミって私たちのことじゃなかったんだ!)
酸欠で紫色の唇になりながら、私とウルさんはタイルの床に崩れ落ちた。
♢
「コイツ、こんなのを隠し持っていたぞ!」
クレーブさんが押さえつけていた男の腹から、細長いビニール袋で覆われた複数の医療器具を浴場の床にバラ撒いた。
「この穴の中身は全て、血液で汚染されている上にバイオフィルムでガチガチでヤンス。」
LED照明で管の医療器具の中を照らしたエチルさんが、拡大ルーペを頭から外した。
「これは…洗浄用のブラシも入らないし通常の消毒や滅菌処理では汚れが残るな。
しかも早く処理しなければ手に負えない時限爆弾のようなものだぞ!
エチル、お前ならどう処理する?」
「通常の固着したデブリス汚れなら、超音波のアタックで破壊できるでヤンス。」
(超音波?
なら良かった! ウルさんがいるじゃない‼)
エチルさんはすぐにウルさんを振り返った。
「ウル、君の超音波で潜んだデブリスを破壊してくれないか?」
「僕…自信がありません。」
その場の全員が愕然として、白い顔のウルさんを見つめた。
「なんだと?」
みんなの気持ちを代弁するかのように、クレーブさんが怒りを露わにした。
「おまえは異能を持つ清浄部隊の隊員だろう! なぜ全力を尽くさない⁉」
「ご、ごめんなさい!」
「どうしてですか? さっきは超音波で鏡をピカピカにしたじゃないですか。」
「僕の能力は物体の表面の洗浄はできるけど、筒状の物の内部までは効かないことがあるんです。
僕は怖いんです。もしできなかったら取り返しのつかない事故に…。」
そういうと、ウルさんは泣きだしてしまった。
もしかしたら、過去にそういう事例を引き起こしたことがあるのかもしれない。
私も決して強い人間じゃない。
ウルさんの気持ちが痛いほど伝わってきて、いたたまれない気持ちになる。
「エチル! お前は【消毒班】隊長だろう、何とかしろ‼」
もう! エチルさんを責めないでほしいッ!!
かといって、私にできることといったらエタノール噴射のみ。
管の中の標的にも届くはずだけど、張りついたデブリスを完全に壊したり追い出すことはできないわ。
「もうすぐ一般の人間が入ってくる時間だ。ここで一次処理をしてしまわなければ!」
たたみかけるようなクレーブさんの声に気がはやる。
(なにか、何か方法はないの⁉)
待てよ。
頭を上下に振って憤るクレーブさんを見て、私はふと昔のことを思い出した。
細い口のペットボトルを洗うときは、洗剤水を少し入れて上下に激しく振ると中身がキレイになる。
それみたいに、この管の医療器具も洗浄できないのかな。
そうだ!
「ウルさん、もう一度だけこの医療器具と一緒に用具箱に入ってください!
そしてドキドキしながら超音波洗浄をしてみてもらえませんか?」
「ええ? ドキドキしながら? そんなことしてもムダじゃないかな。」
「ウルさんは、本当にスゴイ人です。自分を信じてください。」
「そこまでイーオが言ってくれるなら…やってみるよ。」
ウルさんは鼻息を荒くして用具箱に入って行った。
(頑張って!)
シーン。
しばらくして、用具箱の扉を細く開けて、隙間からウルさんが情けない声で私を呼んだ。
「やっぱり、あまりドキドキしない。」
「おかしいですね。さっきはあんなに苦しそうだったのに。」
ウルさんは、消え入りそうな声で下を向いて喋った。
「もしかしてイーオと一緒に狭いところに居たからドキドキが増したのかも…。」
「イィッ? 」
確かに私もドキドキしたけど、そういうこと⁉
「イーオ、頼むでヤンス。」
私はエチルさんとクレーブさんに見守られながら、再びウルさんと用具箱に入ったの。
(ウウッ、きまずッ!)
そして外から扉を閉められた途端、またあの頭痛が襲って来た。
もしかして、もう減圧が始まっている?
私は発砲スチロールの容器とウルさんが手にしている医療器具をかわるがわる見比べた。
このまま減圧と加圧を繰り返せば、管の中に洗浄液が出入りして超音波の効果を増す。
「ハァハァ。」
ウルさんの手の上の医療器具は少しずつ気泡を出して震え始めた。
「キテます。熱を加えていないのに沸騰しています! 減圧できています!」
「超音波40kHzで15分間振とう!」
ウルさんの手から特大の虹色のシャボン玉が出て、医療器具にぶつかるとパンと弾けた。
その瞬間、筒状の器具の入り口から小さな石にヒビが入った姿のデブリスが、焦った顔で飛び出してきたのよ!
「デブリス!」
私はすかさず持っていた消毒スプレーをデブリスに向かって噴射した。
『ギャーーーッ‼』
スプレーの直撃を浴びたデブリスは落下して苦し気に用具箱の狭い床を這いまわった。
思わず私がサンダルで踏みつけると、ウルさんが両手で目を覆った。
『オノレ…清浄部隊メ…。』
私は足の下で種になったデブリスを回収した。
「やりましたね、ウルさん!」
「僕の力が命の役に立つ日がくるなんて。
ありがとう、イーオ。君が背中を押してくれたおかげだ。」
良かったね、ウルさん。
悲しい過去があっても、乗り越える勇気さえあれば未来は変えることができるはず。
「消毒完了!」
私とウルさんは声を揃えて宣言した。
私も、もう少しだけ頑張ろう。
この消毒スプレーの液が最後の一滴になるまでは。
♢
(やれやれ。一件落着ね。)
と思いながら用具箱から出る前に、急にウルさんに手首をつかまれた。
「どうしたんですか?」
「待ってくれ。
デブリスを退治できたのは、全て君のおかげだ。君は僕の太陽だ!」
ウルさんの口調が、いつもより早口で怖い。
しかも、こんな歯が浮くセリフを言う性格ヒトじゃないのに!
「イーオ、僕と結婚してください!」
ハアッ?
「ウル、しっかりするでヤンス。」
エチルさんが興奮するウルさんの髪を一本引き抜いた途端、髪の毛穴から水蒸気が噴き出して、シュルシュルと身体がしぼんでいった。しばらくすると、ウルさんが眠そうな顔であくびをしたの。
「あれ、デブリスは?」
私は狐につままれたようにポカンとした。
「エチルさん、今、ウルさんに何が起こったんですか?」
「初めての減圧に慣れなくて、ウルの中の圧力が抜けきらなかったみたいだから、手を貸したでヤンス。」
「圧力が下がったから、元のウルさんに戻ったんですか?」
「おそらくね。」
それって圧力鍋と同じ?
圧力が抜けたウルさんはいつものゆるいテンションだった。
私にプロポーズしたことは、見事に記憶から飛んでいたの。
あーあ。
人生初のモテ期・即終了。
私はホッとした半面、少し残念な気持ちも抱えつつ銭湯の入り口にのれんをかけた。



