(悩める)リケジョの白井さんと(気ままな)リケダンの日高くん

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 バスの時間が迫ってきて、カフェを出た。
 ターミナル駅へ向かう道すがら、話をする。
 よくよくきけば、高校二年生の三月のパフェの翌日は、嬉しさと照れくささが綯い交ぜになって、まともに私の顔がみれなかったと日高くんは白状した。

 「だって俺、気になっていた女の子とふたりだけでパフェ食ったんだぜ。にやけるしか、ないじゃん」

 周りに知られると恥ずかしいから無視されていた、そう思っていたが、ちょっと違っていた。
 同様に、私も楽しかったけれど周りに知られたらちょっとマズいかなと思っていた。
 お互いが、ここでも視点の方向違いをしていたことになる。

 「卒アル委員は、マジで運命だと思った。担任に頼まれてシブシブ教室へいけば、白井さんがいたんだもんな~」

 私のほうも、あの偶然は神様のお計らいかと思ってしまった。下心ありありで卒アル委員に立候補したことは……やっぱり日高くんにはいわないほうがいいだろう。嘘くさく「特に部活をしていなかったから、記念になればと思って」なんて、答えてみせる。

 「偶然といえば、電車でイメチェンした白井さんを見つけたときは、思わずメールしてしまった。ストレートからふわふわウェーブに変わって、一度に大人っぽくなって、ますます可愛いと思ってしまった」

 正確にはサロンのスタイリストさんたちの練習台になったカラーリングとウェーブであったが、こんなにもインパクトを与えていたとは! 今更ながらに、感謝である。

 「そのときにいったはずなんだけど……」
 「うーん、あれは、何だったかな?」
 「絶対に目ぇ付けられるって、こと。ずっと心配はしていたが、今日、確信した。思い出しても腹が立つ。先に白井さんを見つけたのは、俺のほうなのに」
 「?」

 並んで歩いていたところで、一歩先に日高くんが踏み出した。くるりと振り返り、こちらの正面に立つ。
 背の高い日高くんに通せんぼされる形となり、私は見下ろされていた。

 「だから、いうぞ! 他大学でなかなか会えなくて寂しい思いをさせるかもしれないけど、俺と付き合ってください」

 力強いまなざしに、真摯な日高くんの気持ちが読み取れた。