(悩める)リケジョの白井さんと(気ままな)リケダンの日高くん

 またひとつ、日高くんのことを知る。こんな情報を知るのは、かなり限られた人になるのでは?
 そんな自分に都合のいい解釈をしてしまう。恋する女子大学生、私の場合、かなり単純かもしれない。

 「で、話は戻って明後日なんだけど、白井さん、大丈夫?」

 帰省の予定は約五日間で、明後日はまだ実家にいる。今のところ、ちーやゆかりん、あっつんとの約束は入っていない。
 もしかしたら、これはデートかもしれない? いや、正確には買い物の相談以外の何物でもないのだけど。

 買い物に付き合うのは、いい。ただひとつ、懸念がある。
 これは私が女だから持ち掛けた案件であって、要望に応じることができそうだからと判断してのこと。いざ店へいき子ども服を選ぶ段階で私の見立てがイケてないとなれば、彼をがっがりさせてしまう。そのあとは、今までのような『季節限定いちごパフェ』の奇跡は起こることはないだろう。
 失敗を恐れて遠慮してデートが遠のいてしまうのは悲しいが、この話がまとまりそうになる前に確認しておかなければ。

 「日程は大丈夫だけど……あの、私なんかでいいの?」
 「何が?」
 「赤ちゃんの服なんて、私も、わかんないだけど……」

 自分の家族や親戚に、まだ赤ちゃんはいない。大学生の身分であれば、子供のいる友人はおろか結婚した友人もいない。
 そんな私に赤ちゃん服の知識を求められても、まるでわからないのだ。

 「チビのサイズは知っている。要は、センスの問題」
 「え! センス! それこそ、私なんかで……」
 「いやいや、そうじゃなくて……あー、白井さんにはきちんといわないとダメだな」
 「?」

 コホンと小さく咳をして、日高くんは居ずまいを正す。ピンと背筋を伸ばして、真摯な目をこちらに向けた。
 バッチリと目と目があって、私の心臓が激しく鼓動する。ただならぬ緊張感が漂ってくれば、私も姿勢を正した。