(悩める)リケジョの白井さんと(気ままな)リケダンの日高くん

 「いや、だから、叔父さんとこの子供の服を買いにいくんだけど、よくわかんないから付き合ってほしいんだ」
 「おじさん?」
 「あ、おじさんて、母の弟の叔父さんね。三年前に結婚して子供ができたんだ。ちょうど帰省しているから、挨拶がてら従兄弟をみにいくんでお祝いとして」
 「いとこ?」

 いとことは、親の兄弟の子供である。通常なら、そんなにいとこ同士は年は離れていないものだ。どうも年齢とセリフの内容に違和感がある。
 自然に湧いて出た疑問を、私は口にした。

 「ずいぶん年が離れているのね?」
 「うん、母と叔父はひと回り、違う。俺が生まれたとき、叔父さんは高校生だった」

 姉弟でも人数が多ければ、一番上と一番下では十才ぐらい年の差があってもおかしくない。高校生の弟に社会人の姉、確かにあり得る。それに、結婚は女性のほうが男性よりも相対的に早いもの。

 (と、なると、叔父さんて現在三十半ばぐらいか?)

 悲しいかな、リケジョは即座に計算をしてしまう。こういうところが可愛くないといわれるのは、よく知っている。
 けれど、性というか癖というか、どうしても事柄と数字が結びついてしまうのだ。

 「甥が叔父さんにお祝いって、珍しい気がするけど……仲いいのね」
 「あー、この叔父さん、俺が小学生のときに映画に連れていってくれたんだ。映画見て、そのあと飯食って、ときどき漫画を買ってくれて、あれは、マジで楽しいお出掛けだった」

 小学生の日高くんなら、叔父さんは二十代半ばぐらいだろうか?
 見方によっては、それは親子にも見えなくはないかもしれない。
 日高くんの口ぶりから、そのお出掛けはかなりに回数があったと思われた。

 「もしかして、映画の仕事に就きたいっていうのは、その叔父さんの影響?」
 「そのとお~り」

 (そうよね、音楽好きの人が家族が音楽一家だったりするし、映画好きだってやはり身内に映画が好きな人がいるからそうなっていくもので)
 (そこが親戚のお兄ちゃんでなくて、お兄ちゃんぽい叔父さんっていうのがビックリだわ)