(悩める)リケジョの白井さんと(気ままな)リケダンの日高くん

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 そうしてやってきたのは、例のごとく、あのカフェである。
 でも、目の前にあるのはカフェではなく、ユニセックスアパレルショップであった。

 「あのカフェ、潰れちゃった?」
 「いや、移転したみたいだ」

 スマホ検索であっさりと日高くんが謎解きをする。
 専門課程に入って下宿をはじめた私にすれば、たった一年しか経っていないのに、この変わり様は「異世界」である。あらためて周りに視線を走らせば、駅前は再開発の真っ最中で知らないビルが建っている。

 「白井さん、こっちだよ」

 環境の変化についていけず呆然とする私を、いつもの飄々とした態度で日高くんは私を引っ張っていった。



 あのきっかけのカフェは移転と同時に新装開店していた。改装したものの、雰囲気は一年前とも高校二年生の三月のときともそう変わりない。店のコンセプトは変わっていないようだった。
 空いているテーブルを見つけて、そこへ座る。
 メニューをみれば、やはり新しいものがある。見たことのないスイーツの画像が並ぶが、その中に『季節限定いちごパフェ』の文字を見つけることができた。

 「何する? 白井さんは、季節限定いちごパフェ?」
 「もちろん」
 「だよな、この写真のないところが、いかにも限定って感じだし」

 ここも今までと同じように『季節限定いちごパフェ』を、ふたりしてオーダーした。
 果たしてやってきたのは、イチゴジュレとクリームのミルフィーユの上につやつやイチゴが山となっているパフェ。ずいぶん見覚えがある。
 そうそれは、高校二年生の三月のふたりが食した『季節限定いちごパフェ』そのものであった。店が新装し生まれ変わるとしても、看板スイーツは原点に返るといわんばかりだった。