「白井さん、就職っていっていたけど、この夏にインターンいく?」
特急列車から新幹線へ乗り継いだ。旅は道連れといわんばかりに、喜多くんは座席変更して私の隣に納まっていた。
「特に決めてはいないけど、条件が合えばいってみようかなと」
「そうなんだ。俺、院進学だけど、やっぱり参加したほうがいいかな~」
先日の居酒屋では「いかない」と断定していたのに、いろいろな意見をきくうちに考えが変わったらしい。
窓外は南北海道。やはりここでも鉛色の空で、時おりパラパラと雨粒らしきものが車窓を叩く。もしかしたら、これがあの「雨一番」かもと期待するが、「雨一番」は降り終わらないとわからない。
(トンネル入る前にやめば、わかりそうだけど……)
(うーん、難しいな~)
隣では喜多くんが進路や三年生のカリキュラムを熱弁している。適当に相槌を打ちながら、私は鉛色の空を眺めていた。
終点、東京に着いた。ここからは在来線に乗って、地元へ帰る。
「数時間前とは、全然空気が違うぜ」
「そうだね。あっちは真冬の天気だったのに、こっちではもう桜が咲いていそう」
新幹線を降りたら、別世界が広がっていた。広大な新幹線ホームでは空はみえないが、漂う空気は春のもの。つんと肌刺す冷たくて空気が、ふわりと肌を包む暖かなものに変わっていた。まさに春休み真っ最中の駅のホームであった。
「白井さん、どっち?」
「……線だよ」
在来線出口へ移動すれば、東京駅の雑踏に包まれる。新幹線乗り場が旅のにぎやかさがあるが、こちらは生活のにぎやかさがある。帰ってきたという感じがした。
「じゃあ、途中まで一緒だ」
喜多くんとは、まだ縁があるらしい。学校でいたときは、そんなに出席番号が近いわけではないし、かといって講義室では端から端の位置にいる人というわけでもない。強いていえば、高校二年生の日高くんよりか仲のいい同級生というポジションだ。
「喜多くんの最寄り駅って……」
下宿先へ帰るのとは違う路線へ、並んでキャリーバッグを引きながら向かう途中であった。
「あれ、白井さん?」
雑多な駅のホームで、懐かしい声を耳が拾ったのだった。
特急列車から新幹線へ乗り継いだ。旅は道連れといわんばかりに、喜多くんは座席変更して私の隣に納まっていた。
「特に決めてはいないけど、条件が合えばいってみようかなと」
「そうなんだ。俺、院進学だけど、やっぱり参加したほうがいいかな~」
先日の居酒屋では「いかない」と断定していたのに、いろいろな意見をきくうちに考えが変わったらしい。
窓外は南北海道。やはりここでも鉛色の空で、時おりパラパラと雨粒らしきものが車窓を叩く。もしかしたら、これがあの「雨一番」かもと期待するが、「雨一番」は降り終わらないとわからない。
(トンネル入る前にやめば、わかりそうだけど……)
(うーん、難しいな~)
隣では喜多くんが進路や三年生のカリキュラムを熱弁している。適当に相槌を打ちながら、私は鉛色の空を眺めていた。
終点、東京に着いた。ここからは在来線に乗って、地元へ帰る。
「数時間前とは、全然空気が違うぜ」
「そうだね。あっちは真冬の天気だったのに、こっちではもう桜が咲いていそう」
新幹線を降りたら、別世界が広がっていた。広大な新幹線ホームでは空はみえないが、漂う空気は春のもの。つんと肌刺す冷たくて空気が、ふわりと肌を包む暖かなものに変わっていた。まさに春休み真っ最中の駅のホームであった。
「白井さん、どっち?」
「……線だよ」
在来線出口へ移動すれば、東京駅の雑踏に包まれる。新幹線乗り場が旅のにぎやかさがあるが、こちらは生活のにぎやかさがある。帰ってきたという感じがした。
「じゃあ、途中まで一緒だ」
喜多くんとは、まだ縁があるらしい。学校でいたときは、そんなに出席番号が近いわけではないし、かといって講義室では端から端の位置にいる人というわけでもない。強いていえば、高校二年生の日高くんよりか仲のいい同級生というポジションだ。
「喜多くんの最寄り駅って……」
下宿先へ帰るのとは違う路線へ、並んでキャリーバッグを引きながら向かう途中であった。
「あれ、白井さん?」
雑多な駅のホームで、懐かしい声を耳が拾ったのだった。
