(悩める)リケジョの白井さんと(気ままな)リケダンの日高くん

 実習の最終日となった。この日は実習先にお礼挨拶だけで、学生は帰路につく。
 先のとおり世間の大学生は春休みだから、皆が皆、大学キャンパスへ戻るわけではない。そう、学生らは現地解散となるのである。
 そうして、私は駅に向かう。特急列車と新幹線を乗り継いで、帰省するのだ。スノボに誘われたけれど音痴であれば運動神経もよろしくない私は、バイトがあるからと断った。推しがスノーボーダーなのは、あんなのできてスゴイという憧れ以外の何物でもない。
 駅弁を買って出発ホームに向かえば、先まで実習していたメンバーがあちこちにいた。
 (あ、そうか!)
 (飛行機でなく電車だと、この時間帯になるか)
 バラバラに切符を購入していれば、座席だってバラバラ。ついさっきまで団体行動だったのに、急に個別行動になるのは変な感じである。
 (高校から大学へ進学したときも、こんな感じだったな)
 目的の列車が入ってきて、指定席に向かう。荷物を棚に上げると同時に、
 「あれ、白井さんもこれ電車だったの?」
 と、声掛けされる。
 振り向けば、喜多くんが慌てて列車に飛び乗ったところだった。

 彼はいう、バイトがあるから帰省しないと。このまま東京までいくと。
 私は答える、帰省するけど地元に新幹線は通っていないから、やはり東京までいくと。
 切符を見せ合えば、新幹線も同じ便であった。
 「じゃあ、東京までよろしく」
 と通路を挟んだ向かい側に、喜多くんは座ったのだった。