学生に新幹線は贅沢なので東京までは夜行バスで向かった。
新宿のバスターミナルに着くと、早坂くんが迎えにきてくれていて、思わず駆け寄る。
「ひ、ひさしぶり」
3ヶ月ぶりに会うから、なんか、緊張する。
あの時の、ドッジボール大会を思い出す。
「本当に来た」
そう言って早坂くんは私の頭に手を置いた。
「…なにそれ。来るにきまってるじゃん」
私がそう言うと、早坂くんは「だな」と笑った。
久しぶりに見た笑顔は、変わらず無邪気で。
ああ、やっぱり好きだなと思う。
たった3ヶ月だけど、大人っぽくなってる気がする。
恐るべし、東京。
「とりあえず、荷物置きに帰る?」
早坂くんの提案に、うんと頷いた。
歩きながら自然と繋がれた右手。
ギュッと握り返すと目が合った。
そして、早坂くんがあまりにも優しく微笑むから、釣られて私も微笑んだ。



