次の連休、2泊3日で早坂くんのいる東京に遊びに行くことになった。
あの後、早坂くんは『本気?』『いいの?』『意味わかってんの?』と、必要以上に確認してきてゲームどころじゃなかった。
私だってもう大学生だ。
彼氏の家に遊びに行くことが、どういう事かくらい分かってるつもり。
それなりの…覚悟、みたいなものだってある。
「本当?本当に覚悟できてる?あかり」
学食で1番人気のオムライスを頬張りながら里奈が私に鋭い視線を向けた。
「え?えー、うん…まぁ」
歯切れの悪い私の返事に、里奈はやれやれというように首を横に振った。
「そういう事はさ、ちゃーんと心の準備が整ってからにしないと。早坂くんの女友達の存在に焦る気持ちも分かるけど」
ギクリ。
あのとき早坂くんの部屋に女の子がいた。
そのことに嫉妬して、焦って、早坂くんの部屋に泊まりに行こうとしてる。
里奈にはすべて見透かされてるみたいだ。
「で、でも。本当に、そろそろいいかなって思ってるし」
そう言って、私は里奈の視線から逃げるようにコップの水を飲み干した。
「ふぅん、わかった。
じゃあ、あかり。今から下着買いに行こっ」
「えっ?!」
「どうなるか分かんないけどさ、もし万が一だよ?本当に見せる事になったら、超絶可愛いのつけてないと」
「家にあるのでよくない?」
「えーっ、家にあるってどんなの?」
「え…白の、レースの…」
途中まで言って、学食で何の話してるんだと恥ずかしくなった。
「だめだめ、白なんて中学生じゃないんだから」
「そ、そうなの?」
結局、里奈の勢いに押され、帰り道に駅中のオシャレなランジェリーショップで里奈が言う“超絶可愛い下着”を買って帰る羽目になった。



