そのまま早坂くんの腕の中にすっぽり収まった私。
「髪、濡れてね?」
早坂くんはパラパラと私の後ろ髪に指を通した。
「ドライヤーが、弱すぎて諦めた」
「あれか」
そう言うとスンスンと鼻を吸う音。
「なに?」
「あかりのシャンプーの匂いする」
「嗅がないでよ…」
「今日嗅いでたでしょ、俺の部屋」
好きな人の匂いを嗅ぎたくなるのって、人間の性なのかもしれない。
早坂くんはそのまま私の首に鼻をくっつけた。
「っ、くすぐったい」
体を少し離すと、下から私を見上げる瞳が揺れて、ゆっくりとキスをする。
何度も繰り返す度に深くなるキスに、また酔ったみたいにクラクラした。
「今日、一緒に寝る?」
「………何もしない?」
「え?えー、まぁ、うん。シナイシナイ」
「絶対うそじゃん」
「本音は、この続きがしたいです」
「………」
「でもあかりが嫌ならしない」
里奈にはあんな事を言っておいて、本当はまだまだ何の覚悟も出来てない。
せっかく買った“超絶可愛い下着”も、家に置いてきた。



