ゲーム友達【番外編】




思い返せば、いつだってそうだった。

早坂くんは、私の背中を強引に押して

もう前に進むしかない、そういう状況にしてくるんだ。

あの時、卒業前のドッジボール大会の時もそうだった。




「相変わらず意地悪だね、早坂くん」



私の言葉を待つかのように、早坂くんは何も言わなかった。




「…私、変わらないと思ってた。
大学生になっても、遠距離になっても。
お互いの時間を過ごして、たまにそれを共有して。
会いたくなったら会いに行けばいい。
そう思ってたんだけど」

「全然、違った。
一緒にゲームする時間なかなか作れないから、何して過ごしてたかも知らなくて。
毎日会いたくなるけど…会えないし。
今日。東京にきて、早坂くんの知らないところいっぱい見れて嬉しかったけど、なんか…さみしかった。
私の知らない早坂くんがどんどん増えてくって思ったら、さみしくなった」


一気に喋り終えた。
早坂くんが相槌をする間もなく喋った。
一度言葉にし始めたら、スラスラとその後も出てきた。




「それで、さみしい?」

「そうだよ」

「………ハッ」

笑った。笑ったよこの人!

「ひ、ひどい」

「いやだって、俺も全く同じこと思ったわ」

「え?」

「あかりがゼミの親睦会参加するようになってたのも、バ先の人と仲良くしてんのもビックリしたし。
俺の大学の友達に会ってみたいって言われたのも。
そもそも今こうしてここに来てくれてる事が1番衝撃、俺的には」

「そうなの?」

「だって超インドアじゃん、きみ」

「…」

「あかりの知らないとこ増えて、…うん、さみしいってちょっと思ったよ。俺も」

「同じ…」

「うん。同じ」



ソファから起き上がった早坂くんは、私と同じように床に座って向かい合った。