「「「お邪魔しまっすー」」」
午後5時。早坂くんの大学の友達3人がやってきた。
コミュ力向上計画中とはいえ、さすがに緊張していた私は早坂くんの背中に半分隠れながら出迎えた。
「はじめまして…国見あかりと、申します」
ぺこっと頭を下げると、3人は顔を見合わせて、私の真似をしてペコッと頭を下げた。
「ヨロシクー、あかりさん?あかりちゃん?あかりん?えっ、なんて呼べばいい早坂!」
髪色が派手な茶髪で少し小柄な彼は、確か松浦くん。
彼らが来る前に写真を見せてもらって予習した。
「は?下の名前で呼ぼうとすんな。国見さんでいいんだよ」
「え!ちょー他人行儀!!」
「松浦、セコム早坂に逆らうなよ。俺は遠藤です。よろしく国見さん」
背が高くてメガネをかけていて、いかにも賢そうな遠藤くん。
写真でみたままの印象で、松浦くんとは正反対な感じがする。
そして、早坂くんが要注意人物だという人。
「巻修二郎です。留年してるから歳上だけど、敬語じゃなくていいからね」
そう言ってニッコリ笑って握手を求められ、反射で手を差し出そうとしたら早坂くんに止められた。
「巻サン。今日は酒飲まないでくださいよ」
「え?なんで?飲むよ。俺の酒、まだあるでしょ」
「無いっす。全部捨てました」
「嘘つくなー。お前はそんなことする男じゃないこと俺は知ってるぞ」
「俺の何を知ってんすか。ハイ、向こう座って」
早坂くんは「えー」という巻サンの背中を雑に押して、私たちとは1番遠い場所へと座らせた。



