「実由ちゃん…少し話したい事があるの。今日の放課後、体育館の近くにある倉庫まで来てくれるかな?」
放課後。
倉庫。
閉鎖空間。
これまでのイジメが頭をよぎり、僅かに体が震えた。
次は何をされるんだろう…。
そこには漠然とした恐怖が存在していた。
だけど、まだ足りない。
イジメを受けたおかげで、心に不安と疲弊、恐怖を感じる事はできた。
だけどまだ、あと少し足りていない気がしている。
雛が…あの子が最後に感じたであろう感情が、まだ残っている気がする。
私は琴李に頷いた。
「うん、分かった。行くよ」
声は少しだけ震えていた。
それからの時間は、正直生きた心地がしなかった。
午後の授業の内容が全く頭に入ってこないし、胸の鼓動がバクバクとうるさくて集中できない。
強い緊張感の中で目眩すら覚える。
どうでもいい事ばかり気になってしまう。
次のテスト、今日の晩ご飯のおかず。
これから行われるであろう、イジメの内容。
後ろに座っている琴李は今、どんな顔で私の背中を見ているんだろう。
そんな事を考えながら、なんとか放課後までのりきった。



