それからというもの、琴李のイジメは苛烈さを増していった。
無視は当然。
すれ違いざまにわざとぶつかってくるし、それで階段から落ちかけた。
近くにいたミオが咄嗟に手を伸ばしてくれたおかげで難を逃れたけど、それがなければ…。
トイレに入っている時に上からバケツの水を浴びせられ、濡れた服のまま一日過ごした今年もある。
さすがに目立ったのか、心配した先生から「もしイジメられているなら相談してね」と言われた。
だけどもちろん本当の事は言えない。
だってこの“イジメ”は私が望んでしてもらっている事だから。
それに、家に帰れば琴李は普通に接してくれていた。
「実由ちゃん、お帰りなさい」
そう言って笑う彼女は、イジメについて何も話さない。
家では何事もなかったかのように仲良く過ごしている。
私からも“今日のイジメはやり過ぎ”だなんて言わない。
よほどの大ケガを負わない限り、このまま琴李による私へのイジメを受け入れていくつもりだった。
日に日に増していくイジメ。
誰にも相談できず、私の心は少しずつではあるが確かにすり切れていった。
机に書かれた“死ね”などといった誹謗中傷を雑巾で一心不乱に擦る。
それが毎朝の日課となっていたある日。
久しぶりに学校で琴李から声をかけられた。



