「はい、皆さん静かにー!席についてね!」
全員が着席したのを見届けて、先生が口を開いた。
「今日はですね、なんとこのクラスに転校生が来ました」
その一言で教室の空気が弾けるように明るくなった。
「え、ウソ!転校生?」
「どんな子だろ~」
「男子かな?それとも女子?」
ザワつく教室。
盛り上がるその光景を見て、先生が手を叩いた。
「ほら、静かにしてね!静かにしないと転校生を呼べませんよー?」
そう言われて、ようやく全員が口を閉ざす。
だけどその視線やそれぞれがまとう空気は、転校生への興味を隠しきれないといった様子でソワソワとしていた。
「それじゃあ…入ってきてくれるかなー?」
先生の言葉に、カラカラと控えめに音を立てながらドアが開く。
緊張しているのか、固い表情をした琴李が教室に足を踏み入れた。
その動きはぎこちない。
でも教壇の前に立つ彼女を見て、冷やかすような声は上がらなかった。
それどころか、歓迎の言葉も聞こえない。
それはなぜか。
男子はもちろん、ミオたち女子ですら全員が琴李の美しさに見とれていたからだ。
琴李と視線が交わった。
私は机の上で、小さく拳を握った。
“頑張れ”のメッセージは上手く伝わったかな?
琴李が小さく口を開いた。



