由太と小学校で別れた後。
高校に到着するなり、私は琴李を連れて職員室へと向かう。
ポカポカとした陽射しが照らす廊下で、すれ違う生徒たちがチラチラと私の隣を歩く琴李を見ていた。
見た目も声も、性格も可愛らしい人形みたいな美少女。
その正体が本物の人形だなんて、きっとこの中の誰も思わないんだろうな。
私だけが知っている真実に、少しだけドキドキと高鳴るのを感じながら、職員室のドアを開けた。
担任の先生を見つけて声をかける。
「先生、転校生を連れてきました」
「あら、案内してくれたのね。ありがとう」
「いえ、それじゃあ私はこれで…」
先生に頭を下げて、今度は琴李へ視線を向ける。
彼女は不安そうに瞳を潤ませながら私を見つめ返した。
「またすぐに会えるよ」
そう言って琴李の背中をポンポンと優しく叩く。
「うん…が、頑張るね」
そう呟いて頷く琴李を先生に託し、職員室を後にした。
階段を上り、教室に入る。
「あっ、おはよ実由!」
ミオが私に気づいて手を振った。
そういえば今日は通学路で会わなかったっけ。
友達の多いミオの事だ、今日は別の人と登校したんだろう。
ミオの周りには数人の女子生徒たちがいて、楽しげに談笑していた。
「うん、おはよう」
そう言ってカバンから取り出した花瓶に、いつものように造花を挿す。
その光景に一瞬だけ静かになる女子生徒たちの会話とミオの視線。
それらに気づかないふりをして、私は自分の席についた。
それから数分後、先生が教室に入ってくる。



