「え…この前干したばっかりなんだけど、臭かった?」
「ううん…安心する」
彼女はそう言って布団を鼻先まで被る。
出会った時より、だいぶ話してくれるようになったなぁ。
この数時間で多少は私に慣れてくれたのかもしれない。
それが何だか嬉しくて、私は琴李の頭をなでる。
それに嫌がる素振りも見せず、私の手を受け入れて目を瞑る琴李。
「おやすみ、琴李」
「おやすみ…なさ…」
うとうととまどろんだ様子の琴李にクスクスと笑いながら私も目を瞑った。
そして次の日。
家族が増えて最初の朝。
インターフォンが鳴ったのは朝食の後片づけが終わった頃だった。
「ご苦労さまでした~」
配達員の人から受け取った重い段ボール箱を運び、テーブルに置く。
エリスさんから届いた琴李あての荷物一式。
その中には私と同じ学校の制服も入っていた。
「本当に一緒の高校に通うんだね、私たち」
「うん、緊張しちゃうな…」
不安げに瞳を揺らす琴李の肩に、ポンと手を置いた。
「大丈夫、私がいるから」
そう言って段ボール箱の中身を取り出していく。
着替えなどの衣類や、学校へ行くのに必要なスクールバッグ、文房具と教科書まで揃っていた。
これだけの物をエリスさんはどうやって用意しているんだろう。
どこまでも不思議な人だ。
「新しく琴李用のタンスも買わなきゃ…由太!」
弟に声をかけてすぐ、私はピタリと動きを止める。
「…アンタ、何してるの?」
視線の先、由太は珍しくテレビを消していた。
その代わり、普段は4コマ漫画の部分しか読まない新聞を広げてソファに座っている。



