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「ただいまー」
家の鍵を開けて中に入る。
ドアを開けるなり玄関に放置されたランドセルが目に入った。
由太ってば…またこんな所に置きっぱにして。
私はランドセルを手に、後ろを振り返った。
「どうぞ、散らかってるけど気にしないで」
「お邪魔します…」
おずおずと靴を脱ぎ、家に上がる琴李を連れて二階へ向かう。
目指すは弟の部屋だ。
このランドセルを持っていってやらないといけない。
トントンとドアをノックし、中から声が聞こえる前に部屋のドアノブを回して開ける。
弟…由太はベッドに寝転び、うつ伏せでゲームをしながらくつろいでいた。
私はランドセルを床に置き、腰に手をあてる。
「あのね由太。いつも言ってるけど、帰ってきたらランドセルは自分で部屋まで持っていって?」
その言葉に由太が反応する。
「どうせ後でねーちゃんが持ってきてくれるから、別にいいじゃん…っていうかOK出す前に勝手に部屋に入ってこな___」
ベッドからノロノロと起き上がった由太の不機嫌な視線がこちらに注がれ___ピタリとその動きが停止した。
私が首を傾げる。
「由太?」
「あっ…いや、えっと…」
途端に落ち着きがなくなる由太の視線の先。
そこにいるのが琴李だと気づき、私は問いかけた。
「…ねえ由太。…この子の事、知ってる?」
その問いに視線をさまよわせながら由太が答える。



