身にまとっているのは、夢の中で着ていたのと同じ物だった。
とっくに捨てて、手元には残っていないはずの服。
それが今、ここに存在している。
「…あれは…本当に夢…?」
頭に手をあてて夢の内容を思い出す。
エリスさん。
友達ドール。
…全て鮮明に覚えている。
「こんな事、あり得ないでしょ…」
吐き捨てるように呟くと同時に、ドアの向こうから元気な足音が聞こえた。
たぶん、弟の由太だろう。
あの子は最近、私を起こす事にハマっている。
「ねーちゃん!朝ぁ!」
「ありがとう!着替えてから下行くから待ってて!」
ドンドンと力強く叩かれるドアに向かってそう言い放ち、私は着ていた服を脱ぎ捨てた。
***
「ほら、忘れ物はない?」
朝食後、テレビ番組に夢中の弟へ声をかける。
由太はこちらに振り向きもせず一言こう答えた。
「なーい」
「そう言ってこの前、ふでばこ忘れてったでしょ?ちゃんと確認しなさい」
弟からの返事はない。
今年の4月に小学2年生になってからというもの、生意気に拍車がかかっていて困る。
最近ではこうやって平気で無視してくるし。
登校までの時間が迫る中、私は大きく息を吐きながら弟のランドセルをのぞいた。
これは……ある。
じゃああっちは___。
ポンポンと中を整理して、ランドセルを閉じる。



