「…っ…ひなたぁ…」
弱々しい声が出た。
ひなたの肩口に顔をうずめる。
その頭が、ポンポンと優しくなでられた。
「…かな、で…ちゃ…、大丈、夫…だよ」
聞こえた声に勢いよく顔を上げる。
三度目にしてようやく返ってきたその声は、酷くかすれていた。
目元に涙を浮かべながら、ひなたが微笑む。
「私、は…平気だから…だから、もう一度…だね」
___“もう一度”。
ひなたの言葉に、頭が真っ白になった。
…もう一度…?
もう一度って…何を…?
「っ…ゲホッ…ゴホッ…!」
苦しげに咳きこむひなたが、目の前にいた。
隠すように押さえられた首元には、ロープの跡。
もう一度…やらせるの…?
ひなたに…こんな苦しい思いを、もう一度…?
もしも、また、失敗したら___?
体の芯から、冷えていくような気がした。
ドクドクと心臓が暴れだす。
「わ…わた、し…私、は……」
カチカチと歯がぶつかる音がする。
震えていた。
ひなたと目が合って、私は。
私は___情けなく、首を横に振った。
「…な、い…!…もう…でき、ない……っ!!」
絞り出した言葉。
涙でとっくに視界は滲んでいる。
できない。
できない。
ひなたに首吊りをさせる事も、再び死に立ち向かう事も___できない。
一度は覚悟を決めたはずの心…それは、もう粉々に折れてしまっていた。
今はただ、全てが怖くてたまらない。
あの時…雛から逃げた時と同じ感覚に襲われる。
ボロボロと涙をこぼして、ひなたにすがりついた。
「やらなきゃいけないのに…!命でしか償えないのにっ…!怖いよ…!ひなた…どうしよう、どうしよう…!!」



