私はよろけながら立ち上がり、宙に浮いたままのひなたへと駆け寄った。
彼女の首はこうしている今もロープに締めつけられている。
「は、早く…!早く降ろさなきゃ…!!」
“友達ドール”であるひなたは、死ぬ事がない。
私がこうして生きている限り___首を吊る苦しみから解放される事も…。
慌てて手を伸ばす。
だけど、届かない。
「イス…!イスは!?」
苦しむひなたを前に焦りながら、どうにか近くに倒れていたイスを引っ掴む。
「これ!これに立って、ひなた!!早く!!」
座面にひなたの両足がついた。
「___っは…ぁ…はぁっ……」
「…っ…」
小さく、続けて呼吸を繰り返すその背中をさする。
「…な…」
“ひなた”と声をかけようとしたけれど、上手く発音ができない。
首を吊っていた影響なのか、吊されたひなたを見た恐怖からか…それを助けられた安堵からなのか。
理由は考えても浮かばなかった。
「っ…ひ…なた…」
今度は辿々しくだけど、名前を呼べた。
だけど返事は返ってこない。
ひなたはまだ呼吸を整えている。
顔色が悪い。
死が、終わりが訪れない中での苦しみは、どんなに壮絶な物だったんだろう。
…私が上手く、死ねなかったから…。
だから今、ひなたはこんなにも苦しそうにしている。
私の、せいで。
いつの間にか目から大粒の涙がこぼれ落ちていた。



