「準備は、いい?」
「ええ、いつでも」
目と目を合わせて、頷いた。
そっと伸ばした手を、ひなたが強く握ってくれた。
息を吸って、吐いて。
___ドンッ___!
勢いよく蹴飛ばしたイスが、音を立てて地面に転がる。
途端に枝がきしみ、ロープが首をガッチリとくわえて締めつけた。
「ぁぐっ……!が…!!」
目が飛び出そうなくらいに見開かれる。
苦しい___!
痛い、痛い、苦しい___!!
「……ぁ、あ…ぁが…!!」
酸素を求めて口をパクパクと開閉するけど、当然ながら呼吸はできない。
循環できなくなった血管が悲鳴を上げる。
顔に熱が集まって赤くなっていくのが分かった。
じわじわと、意識が遠のいていく。
「___っ…」
チカチカとくらむ視界に、終わりが近い事を知る。
バタつかせていた足の動きが鈍くなり、意識を失うまであと少しという時だった。
ボキッ___!
「___かはっ!ゴホッ、ゲホッ……!!」
湿っぽい地面の上に、私の体が転がる。
…何が起きたの…?
目から溢れた涙もそのままに、咳きこみながら後ろを振り返る。
足元に、折れた枝があった。
私の首から伸びるロープが、その枝に繋がっている。
私のロープを繋いでいた部分が落下したんだ。
「…ぁ…、が、ぁぁ…」
ふと、上空から声がした。
苦しげな、声が。
私は叫ぶ。
「っ、ひなたっ…!!」



