廃墟から少し離れた森の中に移動して、辺りを見渡す。
手頃な木を見つけて、ひなたの手を借りながらロープを枝に結んだ。
垂れ下がった二つの輪っかを見て、震える体を両手でさする。
…怖い。
覚悟を決めたはずなのに…怖くて、たまらない。
雛もこんな恐怖の中で旅立っていったんだろうか。
飛び降りの方が楽に死ねたかな?
…いや、そんな考えじゃダメだ。
罰を受けるなら辛くて苦しい物じゃないと___きっと、償えない。
「奏ちゃん、大丈夫よ」
ひなたが私の手を握った。
ドールだなんて思えないほど温かな手が、ひんやりと冷たくなった私の指先を優しく包む。
「私が一緒にいるわ___最期の瞬間まで」
その言葉に、心がふっと軽くなった気がして私もひなたの手を握り返す。
ひなたが一緒にいてくれるなら、何も怖くない。
口元に小さく笑みを浮かべる。
「あの世に咲く花を、見に行こう」
そこにはきっと、雛もいるから。
足を動かして、風に揺れる輪っかの前に立つ。
そこには二つの古びたイスが置かれていた。
どちらも廃墟で見つけた物。
それを足場にして枝にロープを固定した。
首をくくる時も、これを利用する。
「さぁ…やろう」
私が片方のイスの上に立ち、輪になったロープに首をかける。
ひなたも同じように残ったイスの上に乗り、ロープへ首をかけた。



