「奏ちゃんは…死のうとしてるの?」
「うん。雛を殺した罪を償わないと」
ひなたが悲しそうに顔を歪ませた。
「このロープを木の枝にくくりつけたいの…それを手伝ってくれる?」
「あのね、奏ちゃん___」
「お願いだから、止めないでね」
ひなたの言葉を遮ってキッパリと言い放つ。
もう、逃げる事は許されない。
あの日、死ぬ事に怯えて雛を一人ぼっちにさせてしまった罰を、受けないといけないんだ。
大事な友達を見殺しにした。
私には、もう、生きていく資格なんてない。
「えぇ、止めない」
ひなたが私を見つめて微笑んだ。
「だけど…私も奏ちゃんと一緒に死なせてほしい」
「…え…?」
私の手から、するりとロープが落ちていく。
ひなたがそれを拾い上げて、私の手に握らせた。
「私は奏ちゃんの“友達ドール”だから。…奏ちゃんが死ねばただの人形…ドールに戻るわ、それなら…最後に苦しみも分かち合いたい」
エリスさんの言葉が頭に蘇る。
教えてもらっていた“友達ドール”の特性。
“この子達ドールの命は、奏様の命と繋げております。つまり、奏様が死ぬとき…その日がまさしくドールの命日にもなるのですわ”
そっか…。
私はひなたを、友達を道連れにしちゃうのか…。
でも、それでも。
「ひなたが苦しんで死ぬ必要ないよ」
私がしようとしているのは…首吊り。
きっと…すごく、苦しいと思う。
「ひなたは傍にいてくれるだけでいいの」
それでも…ひなたは頷いてくれなかった。
その真っ直ぐな瞳に、私は遂に降参する。
「…分かった。…私達、一緒に、死のう」
ひなたは、嬉しそうに笑っていた。



