友達ドール2


「早く着いちゃった…」


スマホを見たら1時間くらい早く来ちゃってた。

どこかで時間を潰そうと思って、スマホを持ったまま、駅の向かい側にあった喫茶店に向かおうとしたの。

その時、猛スピードの車が突っ込んできて…。

私はひかれそうになった。

“逃げなきゃ”って思って後ろに下がる。

足がもつれて、尻もちをついて…。

その時に持ってたスマホを落としちゃって…私は無事だったけど、スマホはタイヤにひかれてバキバキ。

走り去っていく車を見ながら、ボーッとしてて。

心臓が、ドクンドクンって脈打ってて…。

私、その時、思ったの。

…生きててよかった、って。

………。

変な話でしょ?

今から私は、雛と死のうとしてるのに。

車がこっちに向かって走ってきたあの瞬間…死にたくないって気持ちが強くなっていたの。

私は、まだ死にたくない。

そう実感したら…死ぬのが、怖くなった。


「…ど…どうしよう…」


スマホは電源が入らないし、メッセージも送れない。

でも直接、初対面になる雛を目の前にして自殺を断る勇気も…私にはなかった。

体がカタカタ震えだして、私は…。

このまま、時間が経つのを待つ事にしたの。

何とか立ち上がって、駅の傍にあったベンチに座った。

お昼時だっていうのに、人がいなくて。

時々、駅から降りてきた人がいるくらい。

たまに駅の中に設置された時計を見ながら、少しずつ進む秒針を眺めてたりして。

待ち合わせの時間になった。

私はその場から動けなかった。

また、時間が経った。

それで…1時間が経って、やっぱり行かなきゃって思ったの。

会って、謝って、それで、それで。

やっぱり、死ぬのは止めようって…。

私ね。

まだ雛は生きてるって思ってたの。

だから…。