それからの私は…なんていうのかな。
“あの世”に憧れるようになった。
命が終わる事は祝福すべき事。
苦しい事ばかりの“この世”から切り離されて、素晴らしく幸せな“あの世”に行ける。
“あの世”には何でもある。
食べたかった物も、着たかった服も、住みたかった家も、生きたかった場所も。
会いたい人も、そこにいる。
神様が作ってくれる、会わせてくれる。
天使に手を引かれて、導かれるままに。
そんな場所に行きたいと…思うようになった。
そしたら、雛からこんなメッセージが届いたの。
『一緒に、あの世に咲く花を見に行かない?』
あの世に咲く花。
彼岸花を思い出して、私は聞いた。
『いいね、どこかに見られる場所があるの?』
___彼岸花が咲いてる場所へ遊びに行こう。
そういう意味かなって思ったけど…違った。
雛が次に送ってきた文章には。
『違うの。お母さん達に会いに行こうよ』
その一文で私は全て理解した。
あぁ、これは___一緒に死のうって事だ。
それが、分かったから、私は…。
『私も行きたい。雛は私の特別だから…逝くなら特別な友達であるあなたと一緒に逝きたい』
それからは…早かったと思う。
近所のホームセンターでロープを買って、薬は…睡眠薬が欲しかったけど買えないから。
市販されてる風邪薬を買った。
あのパスワード付きのSNSで日時と場所が決まって…『一緒に生まれ変わろう』って、私もその気になってて。
8月8日を迎えた。
お父さんには友達の家に泊まるって言っておいた…気づかれたら、絶対に止められるから。
まだ眠ってるお父さんを見て“今までありがとう”って呟いたのを覚えてる。
朝一番の新幹線に乗って、電車に乗った。
あとは今日と同じように徒歩で廃墟に向かうだけ。
…でも。



