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週末。
いつもより人の多い最寄りの駅から新幹線と電車を乗り継ぎ、私とひなたは目的地を目指す。
片道2時間かけて着いたのは寂れた駅のホーム。
ここから先、あとは歩いて向かうだけになった。
改札を出て人通りの少ない田舎道を進む私の手には、キレイにラッピングされた花束。
歩くたび、それがカサカサと音をたてる。
赤をメインにしてピンク、オレンジでまとめられたその花々の色は、生前の雛が好きだと言っていた色を合わせた物だ。
…こんな事なら好きな花の種類も聞いておくべきだったな、と買うときに少しだけ後悔した。
ろくに整備されていない砂利道から草木の茂る森の中に入る。
獣道だというのに向かう方向…進む道がハッキリと分かるのは、きっとこの場所が有名な心霊スポットだからだろう。
皆、同じ道を通ってあの場所へ行くんだ。
20分ぐらい歩いて、ようやく深い茂みから抜け出す。
目の前には…目指していた廃墟があった。
「…あの時と、何も変わってないな…」
思わず呟くと、ひなたがそれに反応した。
「ん?何か言った?奏ちゃん」
私は首を振る。
「ううん、何でも…行こうか、お花を供えてこないと」
「うん、そうだね」
伸びた雑草を踏みしめながら、廃墟に近づく。
思い出した記憶を頼りに、一歩ずつ。
そして、雛の死体があった場所で足を止めた。
…ここで、雛は…。



