ひなたが私の手にコップを握らせる。
その中には透き通った透明な水がたっぷりと注がれていた。
「はい、お水だよ…ゆっくりでいいからね」
コップを握る手に力を入れ、口元へ運ぶ。
水に口をつけ、ごくりと飲みこむ。
気持ち悪かった口の中に、冷たい水が染み渡っていくのを感じた。
一口ずつ…ひなたに言われた通り、ゆっくりとコップの水を減らしていく。
そして最後の一口を喉に流しこみ、私は息を吐いた。
「…ふぅ…ありがとう、ひなた…」
お礼を言って、よろけながら立ち上がる。
「無理しないで、奏ちゃん」
すかさず寄り添ってくれたひなたに体を支えられながら、自室へと戻る。
部屋に入るなり、ひなたが口を開く。
「お布団に行こう?少し横になった方がいいと思うの」
「そんな…大丈夫だよ」
「だぁめ、私が横になっててもらいたいの…ね、奏ちゃん、お願い…」
心配するひなたに押し切られ、私は布団に寝た。
天井の蛍光灯が眩しくて、横に寝返りをうつ。
ひなたは布団の近くで座っていて、私と目が合うとニコリと笑ってくれた。
…ひなたは、お話に出てくる天使みたいだ。
汚れのない、神聖な生き物…。
その存在が眩しく感じて目を細めた。
この子はきっと、どうしようもない私の元にやって来てくれた清らかな天使なのかもしれない。
私が罪を償うために、エリスさんが…神様が出会わせてくれた神々しい存在。
「…あのね、ひなた…」
私は口を開いた。
ひなたが首を傾げる。
「なぁに、奏ちゃん」
「私…行きたい場所があるの」
伸ばした指先が、ひなたの手に触れた。



