思い出すには…何かが足らない。
どこか直感的に、そう感じた。
足りてない。
全てを思い出すための決定的な何かが___。
「…私…何を忘れちゃったんだろう…」
ポタポタと、目から涙がこぼれ落ちる。
ひなたが私の背中をさすった。
「…ねえ、奏ちゃん、その…」
戸惑うような声に名前を呼ばれ、視線を向ける。
ひなたは私と目が合うと、まるで言葉を選ぶように慎重に問いかけてきた。
「あのね…聞こうかどうか、迷っていたんだけど」
ひなたの指が、押し入れを示す。
「…そこが…どうした、の…?」
頭が痛む。
それはまるで、ひなたの次の言葉を拒もうとしているようだった。
痛みをこらえる私に、ひなたは口を開いた。
「押し入れの下…あの中に入っている物と、二人が会おうとした理由は___何か関係あるかしら?」
「…え…?」
あの中に…入っている、物…?
私はふらりと立ち上がり、自室の押し入れに近づく。
___ズキン。
一際大きく痛みが襲う。
___ズキン。
___ズキン。
___ズキン。
痛みの中、手を伸ばす。
押し入れが、開く。
……そこに。
そこに、あったのは。
「…あ…」
目を、見開く。



