友達ドール2


家に到着するなり私はひなたと自室へ向かった。


「すぐにお布団、敷くからね」


室内の押し入れを開きながら、ひなたが私へと声をかける。

それに頷きながら、でもお礼を言う気力もなく畳の上に寝転がった。

グラリ、と視界が揺れたような気がして唇を噛む。

…ここまで酷い痛みは、初めてかもしれない。

頭の中で突き刺すような痛みが、まるで警鐘のように鈍く…そして鋭く響き渡る。

雛について、何かを忘れている___それについてはもう、とっくに気づいていた。

私は…何か大切な事について見て見ぬフリをしている。

それはきっと、重要な記憶。

そんな記憶から逃げている自分自身を、痛みが責めてきているような気がして…強く目を瞑った。

ひなたの声がする。


「奏ちゃん、起きれそう?」


私は首を振った。

額から脂汗のような物が流れた。


「痛いよね…何もできなくて、ごめんなさい」


優しさを含んだ、暗い声。

ひなたの温かい手が、私の背中に添えられる。

目を開くと、心配そうに見つめるひなたが傍にいた。


「…っ…」


私はギュッと唇を噛み締めながら、体に力を入れて上体を起こす。

フラつく体を、ひなたが抱き締めるように支えてくれた。

大きく息を吸って…息を吐く。

また息を吸う。

そして息を吐く。

それを何度か繰り返して、ひなたに呟いた。