「なんかね、借りてた本のページに油染みがあるっていうの…!何か食べながら読んだんでしょ、なんて言われてさ…そんなことしてないのに…!」
「へぇ…」
「しかもね、“嘘をつくなんて地獄におちますよ”とかページの内容を引用して説教が始まってさ…もう訳が分かんないでしょ…」
「それは…災難だったね」
私が苦笑すると、サナの視線が手元の図鑑に移った。
「ん?なに、それ…花の図鑑?」
「あ…うん、ちょっとどんな花があるのかなって調べてて…」
私がそう言うと、サナは「ふーん」と興味がなさそうに図鑑をめくった。
そしてふと、あるページを見たあと思い出したように呟く。
「あっ…この花…!」
サナが私達に図鑑の一ページを開いて見せる。
「…それ…“彼岸花”?」
私の呟きにサナが頷いた。
「これだよ、お説教で引用された部分…!」
「あー…地獄に落ちるってやつ?」
「でも、彼岸花と地獄ってどう繋がるのかしら?」
ひなたの疑問にサナは唇を尖らせながら言った。
「さぁ?なんか彼岸花って地獄と繋がってる花らしいよ」
「…地獄に…繋がる、花?」
ズキン___。
頭が痛みを訴える。
………。
私はその話を…知っている、ような……。
ズキン___。
ズキン___。
ズキン___。
痛い。
突き刺すような頭痛に歯を食いしばった。
頭を押さえてイスから立ち上がる。
「奏ちゃん…!」
ひなたが横から、すぐに体を支えてくれた。
ヨロヨロとしながら息を吐く。
「えっ、ちょ…奏、どうしたの?」
「サナ、ごめん…ちょっと気分悪くて……この図鑑、片付けといてもらってもいい…?」
「それは…別にいいけど…」
「ありがと…ごめん、ひなた…肩貸してもらってもいい…?」
「えぇ、もちろん」
私はその場をサナに任せ、ひなたと図書室を後にした。
止まらない頭痛の中、近くの女子トイレに駆け込む。
そしてひなたと二人で一番奥の個室に入り、扉と鍵を閉めた。



