友達ドール2


「なんかね、借りてた本のページに油染みがあるっていうの…!何か食べながら読んだんでしょ、なんて言われてさ…そんなことしてないのに…!」


「へぇ…」


「しかもね、“嘘をつくなんて地獄におちますよ”とかページの内容を引用して説教が始まってさ…もう訳が分かんないでしょ…」


「それは…災難だったね」


私が苦笑すると、サナの視線が手元の図鑑に移った。


「ん?なに、それ…花の図鑑?」


「あ…うん、ちょっとどんな花があるのかなって調べてて…」


私がそう言うと、サナは「ふーん」と興味がなさそうに図鑑をめくった。

そしてふと、あるページを見たあと思い出したように呟く。


「あっ…この花…!」


サナが私達に図鑑の一ページを開いて見せる。


「…それ…“彼岸花”?」


私の呟きにサナが頷いた。


「これだよ、お説教で引用された部分…!」


「あー…地獄に落ちるってやつ?」


「でも、彼岸花と地獄ってどう繋がるのかしら?」


ひなたの疑問にサナは唇を尖らせながら言った。


「さぁ?なんか彼岸花って地獄と繋がってる花らしいよ」


「…地獄に…繋がる、花?」


ズキン___。

頭が痛みを訴える。

………。

私はその話を…知っている、ような……。


ズキン___。

ズキン___。

ズキン___。


痛い。

突き刺すような頭痛に歯を食いしばった。

頭を押さえてイスから立ち上がる。


「奏ちゃん…!」


ひなたが横から、すぐに体を支えてくれた。

ヨロヨロとしながら息を吐く。


「えっ、ちょ…奏、どうしたの?」


「サナ、ごめん…ちょっと気分悪くて……この図鑑、片付けといてもらってもいい…?」


「それは…別にいいけど…」


「ありがと…ごめん、ひなた…肩貸してもらってもいい…?」


「えぇ、もちろん」


私はその場をサナに任せ、ひなたと図書室を後にした。

止まらない頭痛の中、近くの女子トイレに駆け込む。

そしてひなたと二人で一番奥の個室に入り、扉と鍵を閉めた。