友達ドール2


「保健室の先生、お留守みたいだね」


ようやく辿り着いた目当ての場所で、ひなたが呟く。

薬品の臭いで満たされた空間には、私達以外、誰の姿もなかった。


「奏ちゃん、ここに寝てよう?」


ひなたが私をベッドの上に寝かせる。

そして周りのカーテンを静かに閉めた。

区切られた空間でひなたと二人、言葉を交わさずに過ごす。

ひなたは無言のまま、時々私の頭を優しくなでてくれていた。


「…ありがとう、だいぶ良くなった…」


しばらく時間が経ち、ようやく上半身をベッドから起こす。


「奏ちゃん…まだ無理しちゃだめよ」


心配するひなたに私は小さく笑った。


「もう大丈夫…ひなたのおかげでね」


「ふふ…私はなにもしてないよ」


そんなことない。

あのままひなたが来てくれなかったら…私は今頃、教室で倒れていただろう。


「ねぇ、奏ちゃん」


ひなたが私の手に、自分の手を重ねた。


「…ん?」


「また具合が悪くなったら、いつでも頼ってね。私はいつでも奏ちゃんだけの味方だから」


「ひなた…」


心がじんわりと温かくなっていく。

私は穏やかに微笑み、頷いた。


「…うん、分かった」


私が言い終わるや否や、保健室のドアが開く音がした。


「あら、誰かいるの?」


声から察するに先生が帰ってきたらしい。


「私が説明してくるよ。奏ちゃんはもう少し休んでて!」


そう言ってひなたがカーテンの向こうに行ってしまった。

一人になった空間で、聞こえてくる話し声をぼんやり聞き流す。

…少しだけ、寝させてもらおうかな?

私はゆっくりと目を閉じた。