「ねっ…二人は友達なんでしょ?後で私にも紹介してよ!」
パチンッと両手を合わせて頼んでくるサナに、私は笑った。
「だぁーめ、ひなたは私の“特別”だから___」
その瞬間、頭痛がした。
___は__の特別だから___。
___特別だから___。
___特別。
そんな言葉が頭に浮かんで消えていく。
ズキッと痛む頭を押さえる。
「…え?ちょっと…奏、どうした?」
サナが心配してくれている。
私は汗の滲んだ額を拭い、笑う。
「っ…だい、じょうぶ…」
「大丈夫って…具合悪い?吐きそうとか?」
「そうじゃなくて……」
「イスに座る?なにか冷たいの買ってこようか?」
頭が痛い。
質問攻めにしないでほしい。
ぐるぐると思考が巡っていて頭痛が更に酷くなっていく。
そんなとき、サナから逸らした視線の先で、人影が動いた。
「ごめんなさい、ちょっと通してね…」
ひなただ。
クラスメイト達をかき分けて、私のところまで向かってくれている。
「奏ちゃん!」
「…ひなた…」
思いのほか弱々しい声が出て、自分で驚く。
安心したのか、体からふわりと力が抜けた。
倒れそうになるのを、ひなたが全身で受け止めてくれる。
「奏ちゃん、具合が悪いみたいだから保健室に連れて行くね」
そう言って、私に肩を貸してくれるひなた。
教室を出て、廊下を進んだとき、耳打ちをされた。
「保健室の場所ならさっき先生に教えてもらったから大丈夫だよ。今、辛いでしょ…なにも言わなくていいからね」
その言葉に甘えて、ただ息をすることに集中する。
保健室までの道のりが、今は遠く感じた。



