手を繋いだまま校門をくぐり、上履きに履き替える。
そしてひなたを職員室の前まで連れて行った。
「それじゃあ、私は教室に行くね」
「うん。また後でね、奏ちゃん」
ひなたと手を振って別れた後、階段を上がり3年の教室まで向かう。
いつもよりやけに賑やかなクラスメイト達の話題は、すでに転校生のことで持ちきりだった。
「奏、おはよう!」
私の姿を見るなり、クラスで一番仲が良いサナが声をかけてくる。
「おはよう、サナ」
「ねぇ知ってる!?大ニュースだよ!転校生だって~!」
「知ってる、転校してくるの友達だもん」
ひなたのことは“友達”と言ったけど、サナのことはそう思えていない。
確かに仲は良いし、よく話すけど…サナには雛の事件のことを話せていないから。
悩みを打ち明けられない関係を、私は“友達”と言いたくなかった。
「え、そうなの!?」
サナがこれでもかと目を丸くする。
その反応に思わず吹き出す。
「やだ、サナってば驚きすぎだよ」
そのとき、先生がドアを開けて教室へと入ってきた。
「皆、席につけー、ほらそこ!静かに」
先生の声に従い、クラスの全員が席へと戻る。
そわそわとした空気は“転校生”が気になるからだろう。
転校生がひなただと知っている私は、少しだけ得意気に背筋を伸ばした。



