朝。
「…ん…」
目が覚めた私は、布団から半身を上げる。
そして寝ぼけまなこで辺りを見回した。
ひなたがいない…。
どこに行ったんだろう?
「ひなた…?」
立ち上がり、廊下へと続くふすまを開ける。
するとキッチンの方から良い匂いがただよってきた。
懐かしい。
お母さんが生きていた頃を思い出す。
匂いのする方向へと導かれるように足を運ぶ。
すると、台所にひなたが立っていた。
昨日とは違う洋服の上に、エプロンをしている。
私に気づくなり、ひなたが微笑んだ。
「あ、おはよう奏ちゃん。朝ご飯、もうすぐできるからね」
コトコトと火にかけられたお味噌汁。
ジュージューとフライパンで焼かれるベーコン…そこに割られた卵がのせられる。
辺りを満たす良い匂いに、よだれが口内にたまっていくのを感じた。
「ふふ、すぐに作っちゃうから、お顔を洗っておいで」
ひなたの言葉に頷き、早足で洗面所へと向かった。
出しっぱなしのヒゲ剃りを見るに、お父さんは一足先に仕事へ行ったらしい。
蛇口をひねり、水を出して顔を洗う。
頭の痛みはすっかりとれていて、スッキリしていた。
タオルで顔を拭き、再び台所へと戻る。
テーブルには朝ご飯の用意がされていた。



