友達ドール2


二階に繋がる階段の隅にはクモが巣を作っていて、まだ長かった髪にまとわりつきそうで…私は足早に通り抜ける。

三階、四階、そして五階。

屋上のドアを開ける直前、小さく深呼吸をした。

ドアノブを回す。

そこで私を出迎えたのは…あの日、修学旅行で出会った女の子。

雛だった。

彼女は私を見つけるなり、ニコリと笑って手を振った。

その体は、少しでも後ろに傾けば転落してしまう場所に座っている。


「雛、だよね…?そこから離れて、危ないよ!」


私が叫ぶと、雛はこてんと首を傾げた。


「危ないって…私達、今から死ぬのに?」


「死なない!死んじゃダメ!」


言いながら雛に一歩ずつ近づく。

足元に転がっていた缶が爪先にあたって音を立てた。

少しずつ距離を詰める。

今、彼女はヤケになってるだけだ。

ちゃんと説得すれば、自殺なんてバカな事、きっと止めてくれる。

大した根拠もなく、そう信じていた。


「イジメが辛いのは分かる、だけどこんな事しても意味ないでしょ!?」


私の言葉に雛が表情を固くした。

鋭くなった目つきに体が強張る。

彼女はどこか悲しげな、ぎこちない笑みを浮かべて口を開いた。


「実由さ、イジメられた事ないでしょ?だから分からないんだよ。私の気持ちなんて、これっぽっちも」


「それ、は…」


「もういいや、元々一人でも死ぬ予定だったから」


返す言葉を探す私を見て、雛はため息交じりにそう言った。

その場で立ち上がり、彼女がこちらへ背を向ける。

壊れたフェンスが風に揺れてガタガタと音を立てた。

一歩進めば真っ逆さまな屋上のふち。

そこに雛が足を乗せる。


「___ダメ!」


私は雛に手を伸ばした。