友達ドール2


「雛がっ…夢、こっちを見て、怒ってっ…」


震えた声が言葉を必死に紡ごうとする。

辿々しいそれを聞きながら、琴李が優しく私を抱きしめ返してくれた。

背中をポンポンと一定のリズムで叩かれる。

それはまるで親が子供をあやすようだった。


「大丈夫…大丈夫だよ、実由ちゃん。私はここにいるからね」


琴李の柔らかな手が私の頭を撫でる。

少しずつ落ち着きを取り戻してきた私は、それでも琴李から離れる事ができずにいた。

触れている寝巻き越しの彼女の体温が温かくて、安心する。

これは生きている人間の温かさだ。

琴李も…そして私も生きている。

でも、雛は…あの子は。

ふと夢の中の冷え切った雛が脳裏をよぎる。

骨が折れて、変な方向に曲がった体。

溢れ出る血が頭部から広がる光景。

光のない、真っ暗な瞳。

また、僅かに体が震えた。

消えてくれない。

あの日の雛の、最後の姿。

もう、一人で抱えこむのは限界だった。

誰かに…話したくてたまらない。

雛の最後、立ち会った私の罪。

私は震える口をゆっくり開いた。


「あの日…雛が自殺するって決めた日…私、その場所まで行ったの…」


私は琴李の体を強く抱きしめたまま、雛が死んだ日の事を思い出し、語った。