「もちろん…その、私でいいのなら」
「ありがと」
小さく笑って、私は空を見上げた。
まず話すべきなのは…私達の出会いからかな。
「私と雛が初めて会ったのは、中学の頃の修学旅行先だった。自由行動で班に分かれて散策してた時、突然“やめて”って声が聞こえたの」
人通りの少ない路地だった。
私は班から抜け出して声のした方へ向かって…そこで雛と会った。
「声の主は雛だった。雛は私とは違う学校だったんだけど、修学旅行先が被ってたみたいで…班の子達からイジメを受けてたの」
「イジメを…?」
「うん…髪を引っ張られて泣いてる雛を見て放っておけなくて…私は声をかけた」
___やめなよ、イジメとかみっともないよ。
私が大きな声で言い放つなり、雛をイジメていた子達が大慌てで逃げていったのを覚えてる。
取り残された雛はボサボサの髪を必死に押さえて、恥ずかしそうにうつむいていた。
「そのまま一人にしておくのも心配だったから、雛の隣でしばらくお話してたの。そしたら仲良くなって…すぐに連絡先を交換したんだ」
雛とはそれ以来、よくスマホで電話した。
内容は色々。
お互いの事はもちろん、止まらないイジメの相談もされて…私はいつもこう答えていた。
「“受け身になってるだけじゃダメだよ、行動を起こさなきゃ”…私はイジメられてる雛にそう言ってた。今考えてみたら、無責任な話だよね」
イジメられている人が行動を起こすなんて、想像以上の勇気が必要だ。
これは琴李からイジメを受けて知った事。
当時の私はイジメとは無関係な生活を送っていたから、そこの配慮が足りていなかったと思う。
「それからしばらく雛からの電話がなくなって…イジメが解決したのかな?なんて思ってたの。でも…突然電話があって」
ある日の事だ。
久しぶりに聞いた雛の声はとても明るい物だった。
___一緒に、あの世に咲く花を見に行かない?
___私、お母さんに会いにいきたいんだ。
___私のSNSを見に来て。待ってるからね。



