ネモフィラと呼ばれる青くて可愛い花。
どこに行きたいかたくさん話して、琴李が見たいと言ったからこの場所に来る事を決めた。
通路に沿って歩き、花畑をバックにスマホで写真を撮る。
家族連れやカップルが目立つ中、そんなのお構いなしに私達ははしゃいでいた。
近くにはキッチンカーが並ぶエリアが用意されていて、ネモフィラをイメージした色のソフトクリームを見つけて購入する。
近くのベンチに座り、ソフトクリームを口にすると、爽やかなソーダの甘味が口の中に広がった。
周囲は賑わう人達の声で溢れている。
だけど私達のいる空間には穏やかで静かな時間が流れていた。
それが心地良くて、この時間がずっと続いてほしい…そんな事を考えながらソフトクリームを食べる。
「ねぇ…実由ちゃん、聞いてもいい?」
カリッとした香ばしいコーンの部分をかじった時、不意に琴李が声をかけてきた。
「ん?どうしたの?」
「雛ちゃんの事…どんな子なのかなって気になってて…」
こちらの顔色をうかがうように、琴李が呟く。
私は口元をペロリと舐め、目を閉じて雛を思い出した。
「雛は…明るくて、写真を撮るのが好きで…普通の女の子だったよ」
「そうなんだ…。えっと…今もよく遊ぶの?」
私は首を左右に振る。
「ううん…雛は、死んじゃったから」
「え…」
琴李の目が大きく見開かれる。
持っているソフトクリームがタラリと一筋コーンを流れていった。
「ご、ごめんなさい…知らなくて…」
「いいよ、気にしないで」
しばし訪れた沈黙の時間。
それを破ったのは私だった。
「ねえ、琴李…私と雛の話を聞いてくれる?」



