友達ドール2


視線がゆっくりとした速度で下へ移動する。

そこにあったのは、白い髪ゴムで束ねられた髪。

美しい断面でスッパリと切り落とされていた。

手で後頭部を撫でる。

襟足の部分が短い。

かろうじて首に毛先が届いているくらいだろうか。

大切にしていた髪の毛を切り落とされた事に対して、最初に感じたのは絶望の二文字。

だけどそれと同時に湧き上がる感情がもう一つだけあった。

私の口元が緩む。


「…あ…は、は…」


つい笑ってしまった。

あまりのショックでおかしくなったわけでも、精神が壊れたわけでもないと思う。

だって、遂に知れたんだから。

ずっと知りたかった“イジメ”を受けた先の“絶望”___その一端を知れたんだから。

琴李に感謝しないといけない。

変な話ではあるけれど。

私は今、心からそう思っている。

雛。

ねぇ、雛。

私も、知れたよ。

人ってこんな簡単に死にたくなれるんだね。

また伸ばせばいいだけの髪の毛。

それを身勝手に切られただけで、こんなにも。

許せない。

これでいい。

酷い。

ありがとう。

矛盾した感情が目まぐるしく脳内をかき乱す。


「…これで、私の考えた“イジメ”はおしまい。…どうだった?何か分かったかな?」


琴李がこてんと首を傾げる。

私の唇は震えながらも、静かにお礼を告げていた。

___ありがとう、琴李。


そう言い終わった私の頬を、一筋の涙が伝っていた。

これが…これこそ私が望んだ事。

琴李の協力のおかげで知れた感情を、大事に大事に心の奥にしまった。