彼女は私を見てニコリと可愛らしく笑っている。
その隣、倉庫の中央には椅子が置かれていて、琴李がその座面をポンと叩いた。
「ここ座って?髪の毛結んであげる」
「えっ…?」
…髪の毛?
なんで結ぶの…?
疑問に思いながらも言われた通りに椅子に腰を下ろす。
「ちょっと触るね」
そう言った琴李の手がサラサラと私の髪を撫でる。
地肌を傷つけないように…指の腹を使い手ぐしのようにして髪の毛がとかれていった。
後ろから琴李が何かを取り出す気配がして体が強張る。
僅かに首を動かし、彼女の手元を盗み見た。
そこにあったのは…白い髪ゴム。
何の飾りもないシンプルな作りのそれが、私の髪を一つに束ねていく。
「はい、できたよ」
肩の辺りで緩く一つくくりに髪がまとめられていた。
「あ、ありがとう…でも急になんで髪を…?」
「だって、散らかると大変でしょう?」
私の言葉に、後ろにいる琴李が笑った気がした。
琴李の片手がそっと束ねられた髪を掴む。
少し後ろに頭の重心が傾き、上を見上げた事で琴李の顔が見えた。
私の動きが止まる。
髪を掴んでいない、もう片方の琴李の指先。
その手には…刃先の長いハサミが握られていた。
「___あ…」
瞬間的にこれから起こる事が分かった。
でも、すぐに抵抗ができない。
頭で分かっているのに、体の反応が遅れていた。
琴李はニコリと笑って、刃先を髪の毛にあてる。
そして___耳の近くで金属音。
頭がふっと軽くなると同時に、背後でボトッと音がした。
何かの塊が落ちる音。



