友達ドール2


「実由…アンタ大丈夫なの?顔色悪いよ」


ミオがそう言って手鏡を私に向けた。

鏡に映る私の顔は青白く、目元にはうっすらとクマができている。


「今日は早く家に帰って、ゆっくり休みなよ。私が送っていってあげるから…ね?」


手鏡をカバンにしまいながらミオが優しく笑う。

私はそれに首を振った。

サラサラと髪の毛が揺れ動く。


「ごめん、まだ帰れないの。ちょっと約束があって…」


「もしかして…成宮さん?」


頷く私を見つめるミオの顔が、険しくなる。


「そんなの無視しなよ!…最近の成宮さん、実由に…その、あたりが強いっていうか…」


琴李の行動を“イジメ”として指摘しないのはミオの配慮だ。

彼女には私と琴李は今“ケンカをしている”というふうに話していた。

被害を受けている当事者…その私がイジメと認めていないから、ミオは“あたりが強い”という言葉を選んでくれたんだろう。

あくまでもコレはイジメではなく…友達同士のケンカが少しヒートアップしているだけ。

それならば他者は深く追及しにくい。

私はカバンを持って立ち上がった。


「大丈夫だよ。それじゃ私行くから…またねミオ」


「あっ…ちょっと実由っ…!」


ミオをその場に残し、足早に教室を出て外に向かう。

広いグラウンドを経由して倉庫へとやってきた。

古びたドアを開ける。

キィ…と音をたてて、ホコリが宙に舞った。

そこには___。


「待ってたよ、実由ちゃん」


そこにはすでに、琴李がいた。