目の前の女は髪の毛の先をくるくると回しながらテーブルに腰掛けると、スマホを取り出した。そのスマホは間違いなく花音のものだが、女は難なく指紋認証でロックを解除する。
「今日からあたしが荒木花音だから」
「何、だって?」
「これなーんだ?」
女がスマホの画面をこちらに向けた。
自撮りと思われる画面の中には病室のベッドの上で女性が顔に白い布を被せられていて、遺体だということがすぐにわかる。そしてその横でピースサインをしているのは花音。
(どういうことだ……?)
明らかに目の前の花音もおそらく写真の中の花音も偽者に間違いない。
一瞬双子かと思ったが、花音は一人っ子だと話していたことを思い出す。
「やっと欲しかったものが手に入ったの」
「それは花音のこと?」
「正解! どうやって花音のもの全部手に入れたか教えてあげよっか?」
「……興味深いね、ぜひ」
よほど聞いて欲しかったのか、女が饒舌に話し始める。
「この半年、パパ活したお金で整形したんだ〜。花音の写真を使って少しずつね。それでさ〜、やっと傷跡完璧に治ったから〜さっき花音をビルの屋上に呼び出したの。今からあたし死ぬ〜ってラインしてね」
そこまで聞いて予想がついた僕はぐっと拳を握った。
「花音たら慌ててきてさ〜。あたしが本気で死ぬと思って説得まで始めちゃって、気絶させるのなんて簡単だった〜。あとは気絶した花音とあたしの服を入れ替えてスマホの指紋認証も変えて顔面潰してから、ぽいっとビルから落としたの」
「……へぇ……」
「でね。ここからは俳優並みの演技で友達が自殺した〜って救急に連絡してうちの両親を呼び出して状況説明して。この自撮りはうちの両親がくるまで花音と二人きりだったから記念に撮ったの〜、あ! 美咲と二人だ〜」
何がおかしいのか、美咲はテーブルに掌をたたきつけながら馬鹿笑いをしている。
それを冷静に見つめていれば僕の中に知らない感情が揺らめいていく。
「今日からあたしが荒木花音だから」
「何、だって?」
「これなーんだ?」
女がスマホの画面をこちらに向けた。
自撮りと思われる画面の中には病室のベッドの上で女性が顔に白い布を被せられていて、遺体だということがすぐにわかる。そしてその横でピースサインをしているのは花音。
(どういうことだ……?)
明らかに目の前の花音もおそらく写真の中の花音も偽者に間違いない。
一瞬双子かと思ったが、花音は一人っ子だと話していたことを思い出す。
「やっと欲しかったものが手に入ったの」
「それは花音のこと?」
「正解! どうやって花音のもの全部手に入れたか教えてあげよっか?」
「……興味深いね、ぜひ」
よほど聞いて欲しかったのか、女が饒舌に話し始める。
「この半年、パパ活したお金で整形したんだ〜。花音の写真を使って少しずつね。それでさ〜、やっと傷跡完璧に治ったから〜さっき花音をビルの屋上に呼び出したの。今からあたし死ぬ〜ってラインしてね」
そこまで聞いて予想がついた僕はぐっと拳を握った。
「花音たら慌ててきてさ〜。あたしが本気で死ぬと思って説得まで始めちゃって、気絶させるのなんて簡単だった〜。あとは気絶した花音とあたしの服を入れ替えてスマホの指紋認証も変えて顔面潰してから、ぽいっとビルから落としたの」
「……へぇ……」
「でね。ここからは俳優並みの演技で友達が自殺した〜って救急に連絡してうちの両親を呼び出して状況説明して。この自撮りはうちの両親がくるまで花音と二人きりだったから記念に撮ったの〜、あ! 美咲と二人だ〜」
何がおかしいのか、美咲はテーブルに掌をたたきつけながら馬鹿笑いをしている。
それを冷静に見つめていれば僕の中に知らない感情が揺らめいていく。



