全ての講義が終わると私は英太の家に向かった。
いつもなら『いまから行くね』と連絡すればすぐ返事がくるのに既読のみだ。
エレベーターで二階に登り、インターホンを押すが返事はない。
(あれ……? いない?)
(でも昨日、約束したのに……)
まだ交際して数ヶ月だが、少なくとも私が知っている限り英太は約束を忘れるタイプではない。
そっとドアノブに手をかければ鍵は開いている。
(寝てる、のかな?)
「お邪魔、します」
私は玄関の入り口に靴を揃えてから部屋に上がると寝室に向かっていく。
寝室には明かりがついていて扉を開けば、ベッドに腰掛けている英太の後ろ姿が見えた。
「英太……?」
枕を抱え込んでいる英太の背中は震えている。
「……大丈夫?」
「花音……あのさ……」
何かを堪えている様子で英太は私の方を見ない。
「……僕の父さん、病気だったんだけど……さっき亡くなったって」
「……そ、んな……」
英太の様子がおかしかった理由を知った私は愕然とし、頬からは涙が零れ落ちた。
「ふっ……」
英太のそばに駆け寄ろうとして、呼吸が止まる。
一瞬気のせいかと思った。
「……英、太?」
「ごめ……っ、ダメだわ……ふ……っ」
だって、その声はまるで──。
「ふははははっ」
(!!)
いつもなら『いまから行くね』と連絡すればすぐ返事がくるのに既読のみだ。
エレベーターで二階に登り、インターホンを押すが返事はない。
(あれ……? いない?)
(でも昨日、約束したのに……)
まだ交際して数ヶ月だが、少なくとも私が知っている限り英太は約束を忘れるタイプではない。
そっとドアノブに手をかければ鍵は開いている。
(寝てる、のかな?)
「お邪魔、します」
私は玄関の入り口に靴を揃えてから部屋に上がると寝室に向かっていく。
寝室には明かりがついていて扉を開けば、ベッドに腰掛けている英太の後ろ姿が見えた。
「英太……?」
枕を抱え込んでいる英太の背中は震えている。
「……大丈夫?」
「花音……あのさ……」
何かを堪えている様子で英太は私の方を見ない。
「……僕の父さん、病気だったんだけど……さっき亡くなったって」
「……そ、んな……」
英太の様子がおかしかった理由を知った私は愕然とし、頬からは涙が零れ落ちた。
「ふっ……」
英太のそばに駆け寄ろうとして、呼吸が止まる。
一瞬気のせいかと思った。
「……英、太?」
「ごめ……っ、ダメだわ……ふ……っ」
だって、その声はまるで──。
「ふははははっ」
(!!)



